ネグレクト

 

ネグレクトについて      

ネグレクト (neglect) とは、本来英語で「無視すること」を意味するが、日本では主に保護者などが子どもや高齢者・病人などに対して、必要な世話や配慮を怠ることを指す。
児童虐待、高齢者虐待のひとつ。

目次

  • 1 概要
    • 1.1 治安と放置
  • 2 関連する作品
  • 3 関連項目
  • 4 参考書籍

概要

特に幼児や児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食、又は長時間の放置、その他の保護者としての監護を著しく怠ることを指す場合が多く、育児放棄(いくじほうき)ともいう。
この現象は、野生の猿などにも見られる。

積極的ネグレクト消極的ネグレクトの2つに分けられる。前者は、親に養育の知識や経済力の不足など、子どもを育てられない明確な理由がないのに育児を放棄することであり、後者は、親の経済力が不足していたり、精神的疾患を抱えている、知的な障害がある等の理由で育児ができないことを指す。

日本では刑法第217条の遺棄・第218条の保護責任者遺棄等・第219条の遺棄等致死傷の上で扱われ、放置された側がそれで負傷ないし死亡した場合に、その放置を行った側が処罰される対象となる。

例えば、過去の事例では以下のようなケースが典型的である。

  • 病気になっても病院に受診させない
  • 暑い日差しの中、駐車場の車内への放置
日本でも3〜4月の天候下で熱中症による死亡事例も発生している。
  • 防寒に充分な着衣を着けさせず、寒冷な外気に晒す
過去には冬季に濡れた下着だけでアパートのベランダに放置された児童が低体温症で死亡した事例がある。
  • 充分な食事を与えない
  • 下着など不潔なまま放置する

また日本では義務教育制度があるが、就学年齢に達した児童を学校にも通わせずに、自宅などに軟禁状態とみなされてもおかしくないように放置することも広義では育児放棄とされる。
その際に、該当する被保護者が保護者以外に頼れる相手が社会に居ない場合は、他に行く当てが無いために、その状況から逃げ出す事も出来ないので、実質的な監禁状態であるともみなされる。

治安と放置

欧米では特に誘拐等の犯罪も起き易い事情もあって、児童を遅くまで戸外で遊ばせていたり、子どもを車に残したままコンビニで買物をしていても問題視され、場合によっては警察官に注意を受ける可能性がある。
実際アメリカでは、11歳以下の子どもを保護者の監督のない状態(留守番や日本の「カギっ子」状態)に置くこと自体が違法とされており、日本人夫婦がスーパーマーケットで子どもを車に乗せたまま買い物に行ったのを見た人が通報したり、ホテルの部屋に子どもを残し外出したところをハウスキーピング係が発見し通報、逮捕、有罪となった例まである。
日本では小学生以下の子ども単独でお使い、あるいは買物など普通にあるが、これもアメリカでは違法行為である。

従来の日本では治安が行き届いているとみられていたために、かつては児童等が一人で児童公園等で遊んでいてもあまり問題視されなかったのだが、1980年代後半頃から現在に至るまで、児童を付け狙う変質者の起こす事件の存在が顕在化した事情もあって、近年では保護者が子どもを遅くまで戸外で遊ばせて顧みない行為を問題視する風潮もある。

関連する作品

2004年カンヌ映画祭で柳楽優弥が主演男優賞を取った映画「誰も知らない」の中の母親のような行為もネグレクトに当たる。
なお同映画に関しては、これの題材と成った巣鴨子ども置き去り事件の項も参照のこと。

関連項目

  • 児童虐待の防止等に関する法律
  • 高齢者の虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律
  • 永山則夫 - 連続殺人事件の犯人。
    子ども時代ネグレクトの被害者で、事件を起こした時点で殆ど読み書きが出来なかったが、後に独学で学問を身につけて作家となり、新日本文学賞を受賞。その後死刑となった。
  • 機能不全家族
  • 食育 - 孤食

参考書籍

  • 『ネグレクト 育児放棄―真奈ちゃんはなぜ死んだか』杉山春 小学館 ISBN 4093895848