甘い父親

 

適切な幼児教育は後の
人間形成において大変重
要であると考えています
が注意していただきたい
ことがあります。
幼児教育は完璧な育児や
教育を推奨するものでは
ないということです。


 ・愛情が第一を忘れない
 ・他の子どもと比較をしない
 ・完璧主義にならない
 ・結果を期待しすぎない
 ・ゆったりとした心を持つ
 子どもへの過剰な期待は
 親子共に大きなストレス
 になる可能性があります。
 ゆったりと構え、少しくら
 い上手くいかなくても
 「まぁ、いっか。」
 位に考えられることが幼
 児教育を続けられるポイ
 ントになります。 

甘い父親 ・幼児教育悩み相談Q&A

はやし浩司先生●はじめまして。KYといいます。



育児のHPを巡っているうち、こちらにたどりつきました。
いろいろと大変参考になり、食い入って読んでしまいました。

我が家には3歳、1歳の息子がいます。
3歳のお兄ちゃんは、凄く父親に甘えます。
これは1歳頃からそうなのですが、父親が本当によく子どもの面倒を、丁寧にみる人で、飽きず
とよく相手をしてくれ、食事の面倒も、オムツ替えも、いる時は育児のすべてをしてくれます。

小さい頃はそれで沢山の愛情を注がれて、いいことだと思っていたのですが・・・。

お兄ちゃんは3歳過ぎてからは、私と普段一緒にいる時はお利口で、頼んだことは何でもよく
やってくれるし、ワガママもほとんど言いません。

3歳過ぎてから、上の子と一緒にいても、楽になったと感じます。(それまではそれなりに大変
だったので)
でも、休日に父親がいると、変貌。

ご飯も自分で食べない、トイレも一人で行かない、どこかに出かければ「抱っこ!」、常に父親
に遊び相手を要求し、とにかく1日中父親にベッタリなのです。

私が変わりにしてあげようとしても、「お父さん!!」と、私は全く無視。
休日に父親が一人でどこかに出かけてしまうと、大泣きです。(しばらくすれば泣きやみます
が)

そして、父親もそれに、すべて応じてしまうのです。

普段、真夜中帰りの父親なので、平日は子どもと会うのは、朝のほんの数十分。
下手すると、子どもの起きる時間が遅いと、会えない日もたびたびあります。
私が何でもやってしまう旦那に注意をしても、「普段はちゃんと一人でやってるんだろ? 休日
の時ぐらい、甘やかしてあげないと」と言い、本当に甘いんです。

叱るなんてこともよほどでなければしないですし、子どもが「〜〜買って!」と言えば、すぐに自分
のおこづかいで買ってあげてしまいます。(いつもではありませんが)

確かに私は、どちらかと言えば面倒見も良くないですし、子どもの相手も上手じゃないです。
下の子が生まれて、日ごろ、いろいろと我慢している部分もあるでしょうし、それで余計にお兄
ちゃんを甘やかしてあげたいということなんでしょうが、それでもあまりにお兄ちゃんが父親に
ベッタリで、まさしく依存してしまっているので、このまままでいいのか困惑しています。

私の育て方がよほどダメなのかと悩むこともしばしばです・・。

そして、父親自身、ドラ息子なのです(笑)
長男として、家を継ぐものとして、甘やかされ育っています。(今は同居していませんが)

まず一緒にいて、自立心がないのが苦になります。
自分のことなのに、人の責任にして、人を責めたりします。
自分のことを自分でしない。

人(私)がやって、当たり前なんです。
旦那のことは諦めていますが、子どもにはこう育って欲しくないんです。
でも、今のように旦那が子どもに全て手を出していると、自立できないようで怖いんです。

よろしければ、アドバイスを頂けたらと思います。
よろしくお願いします。

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【はやし浩司より、KYさんへ】

 掲示板への投稿、ありがとうございました。

 どこか、それでいて、ほほえましい親子関係が、頭に浮かんできます。まあ、ふつうの言い方
をすれば、あなたの夫は、子煩悩(ぼんのう)、よき家庭人であり、よきパパということになりま
す。

 ただ、それが少し、度を越している?

 原因は、ご指摘のとおり、あなたの夫自身が、甘やかしと、きびしさの同居する、どこかアン
バランスな家庭環境で、生まれ育ったことが考えられます。「長男だから……」と言って、甘や
かされ、同時に、「長男だから……」と言って、きびしく育てられた(?)。

 つまり夫の中の「父親像」が、かなり混乱していると思われます。私の印象では、あなたの夫
が育った環境は、ベタベタに甘い母親(夫の母親)が一方にいて、権威主義的で、きびしい父
親(夫の父親)が、もう一方にいるというような、そんな家庭環境ではなかったかと思います。

 (あくまでも、私の推察ですが……。)

 同時に、あなたの夫の、情緒的な未熟さも、疑われます(失礼!)。おとなになりきれていない
というか、どこかにピータパン・シンドローム的※なところがあるのかもしれません。一見、子ど
もを深く愛しているかのように見えますが、どこかでき愛的(?)。そんな感じがします。(でき愛
は、「愛」ではありませんよ。念のため。)

 で、こういうケースでは、あなたが夫を作り変えようとか、夫に改めてもらおうと考えても、意味
がありません。ムダです。あなたの夫を教育するのは(失礼)、あなたの子どもを教育するよ
り、何倍も、むずかしいということです。

 では、どうするか。あなたの夫については、現状を受け入れ、あきらめ、その上で、よりベター
な方法を考えるしかありません。たしかに、あたなにとっては、深刻な問題かもしれませんが、
全体としてみると、マイナーな問題です。多少の弊害は子どもに現れるでしょうが、しかしそれ
ほど深刻な後遺症を残すということも、ありません。

 この時期、一過性の問題として、すむはずです。ですから、「自立できなくなる」とか何とか、
そんなふうにおおげさに考えないで、夫と協調して、足りない部分については、あなたが妻とし
て、母親として、補えばよいのではないでしょうか。

 (反面、あなた自身は、どこか都会的、もしくは欧米型の合理主義的な家庭で育てられた可
能性が高いようですね……。これもあくまでも、私の推察にすぎませんが……。)

 3歳の子どもの側からみると、1歳の弟に、母親に取られたと感じているのかもしれません。
そこで父親を自分のものにしたいと思っているのかもしれません。嫉妬による赤ちゃんがえり
の、やや変形したバリエーションの一つと考えられます。

 ですから症状としては、どこか「分離不安」的な症状に似ています。(父親の姿が見えなくなっ
て、ワーッと泣きだして、父親のあとを追いかける子どもも、珍しくはありません。)しかしこれも
3歳という年齢を考えるなら、やはり一過性の問題と考えます。

 子どもの自立が問題になるのは、子どもが親離れを始める、10歳前後と考えてください。む
しろ今の時期は、親の拒否的な育児姿勢や育児放棄。冷淡、無視、暴力などが、大きな問題
となる時期です。

 幸いにも、KYさんのご家庭は、その正反対ですから、あまり神経質にならないで、夫に任す
ところは、夫に任せたらよいと思います。(先にも書いたように、問題があるといえば、あります
が、しかしこの程度の問題は、どの家庭にもあります。)

 あなたの夫が、ドラ息子的であるとしても、それはもう、どうにもなりません。いろいろ不平、
不満もあるでしょうが、あきらめて、うまく家庭をまとめるしかないでしょう。そのかわり、私が発
行している電子マガジンなどを、そのつど読んでもらうという方法は、いかがでしょうか。

 親のでき愛にせよ、親像の問題にせよ、ドラ息子論にせよ、そのつど、テーマとして、とりあ
げています。あなたの夫にも読んでもらえれば、それなりに参考になるはずです。

 これから先、まだまだ子育てはつづきます。ぜひ、私のマガジンを購読してみてください。よろ
しくお願いします。

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ピーターパンシンドロームについて、以前
書いた原稿を、少し手直しして、添付します。

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●ピーターパン・シンドローム

ピーターパン症候群という言葉がある。日本では、「ピーターパン・シンドローム」とも
いう。いわゆる(おとなになりきれない、おとな子ども)のことをいう。

この言葉は、シカゴの心理学・精神科学者であるダン・カイリーが書いた「ピーターパ
ン・シンドローム」から生まれた。もともとこの本は、おとなになりきれない恋人や息子、
それに夫のことで悩む女性たちのための、指導書として書かれた。

 症状としては、無責任、自信喪失、感情を外に出さない、無関心、自己中心的、無頓着
などがあげられる。体はおとなになっているが、社会的責任感が欠落し、自分勝手で、わ
がまま。就職して働いていても、給料のほとんどは、自分のために使ってしまう。

 これに似た症状をもつ若者に、「モラトリアム人間」と呼ばれるタイプの若者がいる。さ
らに親への依存性が、とくに強い若者を、「パラサイト人間」と呼ぶこともある。「パラサ
イト」というのは、「寄生」という意味。

 さらに最近の傾向としては、おもしろいことに、どのタイプであれ、居なおり型人間が
ふえているということ。ピーターパンてきであろうが、モラトリアム型であろうが、はた
またパラサイト型であろうが、「それでいい」と、居なおって生きる若者たちである。

 つまりそれだけこのタイプの若者がふえたということ。そしてむしろ、そういう若者が、
(ふつうのおとな?)になりつつあることが、その背景にある。

 概して言えば、日本の社会そのものが、ピーターパン・シンドロームの中にあるのかも
しれない。

 国際的に見れば、日本(=日本人)は、世界に対して、無責任、自信喪失、意見を言わ
ない(=感情を外に出さない)、無関心、自己中心的、無頓着。

 それはともかく、ピーターパン人間は、親のスネをかじって生きる。親に対して、無意
識であるにせよ、おおきなわだかまり(固着)をもっていることが多い。このわだかまり
が、親への経済的復讐となって表現される。

 親の財産を食いつぶす。親の家計を圧迫する。親の生活をかき乱す。そしてそれが結果
として、たとえば(給料をもらっても、一円も、家計には入れない)という症状になって
現れる。

 このタイプの子どもは、乳幼児期における基本的信頼関係の構築に失敗した子どもとみ
る。親子、とくに母子の関係において、たがいに(さらけ出し)と(受け入れ)が、うま
くできなかったことが原因で、そうなったと考えてよい。そのため子どもは、親の前では、
いつも仮面をかぶるようになる。ある父親は、こう言った。「あいつは、子どものときから、
何を考えているか、よくわからなかった」と。

 そのため親は、子どもに対して、過干渉、過関心になりやすい。こうした一方的な育児
姿勢が、子どもの症状をさらに悪化させる。

 子どもの側にすれば、「オレを、こんな人間にしたのは、テメエだろう!」ということに
なる。もっとも、それを声に出して言うようであれば、まだ症状も軽い。このタイプの子
どもは、そうした感情表現が、うまくできない。そのため内へ内へと、こもってしまう。
親から見れば、いわゆる(何を考えているかわからない子ども)といった、感じになる。
ダン・カイリーも、「感情を外に表に出さない」ことを、大きな特徴の一つとして、あげて
いる。

 こうした傾向は、中学生、高校生くらいのときから、少しずつ現れてくる。生活態度が
だらしなくなったり、未来への展望をもたなくなったりする。一見、親に対して従順なの
だが、その多くは仮面。自分勝手で、わがまま。それに自己中心的。友人との関係も希薄
で、友情も長つづきしない。

 しかしこの段階では、すでに手遅れとなっているケースが、多い。親自身にその自覚が
ないばかりか、かりにあっても、それほど深刻に考えない。が、それ以上に、この問題は、
家庭という子どもを包む環境に起因している。親子関係もそれに含まれるが、その家庭の
あり方を変えるのは、さらにむずかしい。

 現在、このタイプの若者が、本当に多い。全体としてみても、うち何割かがそうではな
いかと思えるほど、多い。そしてこのタイプの若者が、それなりにおとなになり、そして
結婚し、親になっている。

 問題は、そういう若者(圧倒的に男性が多い)と結婚した、女性たちである。ダン・カ
イリーも、そういう女性たちのために、その本を書いた。

 そこでクエスチョン。

 もしあなたの息子や、恋人や、あるいは夫が、そのピーターパン型人間だったら、どう
するか?

 親のスネをかじるだけ。かじっても、かじっているという意識さえない。それを当然の
ように考えている。そしてここにも書いたように、無責任、自信喪失、感情を外に出さな
い、無関心、自己中心的、無頓着。

 答は一つ。あきらめるしかない。

 この問題は、本当に「根」が深い。あなたが少しくらいがんばったところで、どうにも
ならない。そこであなたがとるべき方法は、一つ。

 相手に合わせて、つまり、そういう(性質)とあきらめて、対処するしかない。その上
で、あなたなりの生活を、つくりあげるしかない。しかしかろうじてだが、一つだけ、方
法がないわけではない。

 その若者自身が、自分が、そういう人間であることに気づくことである。しかしこのば
あいでも、たいていの若者は、それを指摘しても、「自分はちがう」と否定してしまう。脳
のCPU(中央演算装置)の問題だから、それに気づかせるのは、容易ではない。

 が、もしそれに気づけば、あとは時間が解決してくれる。静かに時間を待てばよい。

●子どもの問題・・・子どもに関する問題 ●親子の問題・・・親子に関する問題
●家庭の問題・・・夫婦家族に関する問題 ●その他・・・その他の問題


情報・画像の出展:はやし浩司先生

※このページの文章・及び画像の著作権は「はやし浩司」様が保有しています。
当サイトでは「はやし浩司」様のご厚意により許可を得て掲載させていただいております。

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