わがままな娘

 

適切な幼児教育は後の
人間形成において大変重
要であると考えています
が注意していただきたい
ことがあります。
幼児教育は完璧な育児や
教育を推奨するものでは
ないということです。


 ・愛情が第一を忘れない
 ・他の子どもと比較をしない
 ・完璧主義にならない
 ・結果を期待しすぎない
 ・ゆったりとした心を持つ
 子どもへの過剰な期待は
 親子共に大きなストレス
 になる可能性があります。
 ゆったりと構え、少しくら
 い上手くいかなくても
 「まぁ、いっか。」
 位に考えられることが幼
 児教育を続けられるポイ
 ントになります。 

わがままな娘  はやし浩司先生の子どもの問題・悩みQ&A

はやし浩司先生●わがままな娘に手を焼いている

……

そんな相談がありました。



M県M市にお住まいの、MTさん

(母親)からのものです。



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【MTより、はやし浩司へ】



17歳の娘は私たちから見ると、わがままです。一緒に生活していた時、ご飯は一緒に食べ
ず、食べたいときに部屋へもっていって食べたり、自分の都合で、親に送り迎えを急に頼んだ
りし、散々振り回されてきました。



中学一年の半ばから不登校になり、わたしの子育てにも問題があったと、色々反省もさせられ
ました。でもよかれと思って、本人の希望もあって通っていたフリースクールはやめ、通信高校
も定時制高校も、一学期間だけ通ってやめてしまいました。



高校に行き始めた頃からケータイ代を払うためバイトを始めましたが、たいした稼ぎもないの
に、一時は何万ものケータイ代を未納していました。自分に見合ったケータイの使い方をしたら
という私の話に耳をかしません。



最近は家を出て彼氏の家にころがりこんだかと思えば、一人暮らしをすると、嬉しそうに報告し
てきたり・・・。金銭感覚がまともではないような気がするのです。うちではお金をあげず、貸して
います。が、もうそれもしていません。家にいなければ振り回されることがないのでホッとする反
面、外でなにしているのか・・・。このままほっといていいのでしょうか?



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 17歳といえば、体も心も、もうおとな。それがわからなければ、あなた自身のときのことを思
い出せばよい。つまりこの年齢の子どもに対しては、親としてできることは、ほとんど、ない。ま
た親として何かをしようと、親が気負えば負うほど、逆効果。子どもの目には、それが重荷とな
って、映る。



 MTさんの娘について言えば、現在、猛烈な速度と勢いで、おとなの世界に向けて、心の準備
をしている。今までの自分を、すべてかなぐり捨てるかのように、して、である。しかし皮肉なも
のだ。



 どこのだれが、自分の子どもが、(わがままな子)になると、想像して、子育てなどするだろう
か。あどけない顔。子どもらしい、しぐさ。「パパ」「ママ」と言って、あなたの胸に飛びこんでくる
子ども。その子どもがやがて、「ケータイ代を払うために、バイトをする」ようになるとは!



 しかし現実は、現実。そこにあるのが、厳然たる現実。親に残された選択は、ただひとつ。そ
の現実を、受けいれるか、それとも、その現実を拒絶するか。MTさんは、こう迷っている。「家
にいなければ振り回されることがないのでホッとする反面、外でなにしているのか」と。



 では、どうするか? どうしたらよいか? 答は簡単。子どもは、信じて、信じて、信じぬく。ど
んなに裏切られても、信じぬく。決して短気を起こしてはいけない。子どもへの愛情を断ち切っ
てはいけない。子どもがいくら断ち切っても、親は、断ち切ってはいけない。迷うことはあるかも
しれない。しかし断ち切ってはいけない。



 もしそれができなければ、毎日、子どもに向かって、こう念ずればよい。「許して、忘れる」と。
何があっても、「許して、忘れる」と。その度量の深さが、あなたの親としての、子どもへの愛の
深さということになる。



 その愛があれば、子どもは、必ず、(必ず、だ)、あなたのもとに戻ってくる。5年後か、10年
後か、それはわからない。しかし20年を超えることは、ない。



 今、MTさんの娘は、もがいている。苦しんでいる。表面的な反抗とは裏腹に、自分でもどうし
てよいかわからず、悩んでいる。その答がわからないから、親のMTさんに、(わがまま)をぶつ
けている。わかりやすい例に、(家庭内暴力)がある。形こそ、少しちがうが、その心理は、同
じ。つまり(わがまま)をぶつけながら、MTさんの、親としての愛情を確かめている。



 だからMTさんのすべきことは、ただひとつ。どんなに裏切られても、決して、娘を見放さな
い。あとは、その根くらべ。じっとがまんの根くらべ。MTさんは、娘に、こう言えばよい。「あなた
には、負けないわよ」と。「あなたがいくら私を嫌っても、私は、あなたを嫌わないからね」と。



 こういうケースでは、親は、子どもの悪い面ばかりが気になるもの。妄想も、ある。しかしこと
金銭感覚については、そういう子どもにしたのは、MTさん、あなた自身。生まれながらにして、
金銭にルーズな子どもなど、いない。



 それに「ご飯は、いっしょに食べない」ということにしても、理由は、はっきりしている。いっしょ
に食べたくないから、食べない。それだけのこと。子どもを責める前に、どうしていっしょに食べ
たくないか、その心をさぐってみたらよい。



 MTさんは、口うるさくないか? 小言を言い過ぎていないか? あれこれ指示ばかり与えて
いないか? 心配や不安だけを、子どもにぶつけていないか?



 今どき、親子、仲よく食事をする子どもなど、いない。会話の消えた家庭など、ゴマンとある。
廊下ですれちがっても、たがいに目をそむけあう親子となると、もっと多い。同居しながら、30
年以上、会話らしい会話をしたことがない親子さえ、いる。



 子どもに期待しないこと。MTさんの理想像を、子どもに求めないこと。押しつけないこと。MT
さんは、MTさんで、前向きに生きる。1人の人間として、前向きに生きる。そういう姿を見て、
娘は、あなたを1人の人間として、再評価する。つまりMTさんにとって重要なことは、そうして
再評価されるに足りる親になること。あとは、子どもの判断に任す。



【MTさんへ】



 今のMTさんには、つらい毎日かもしれませんが、ケースとしては、よくあるケース。珍しくも何
ともありません。娘さんは、(自分のしたいこと)が、何であるかも、よくわからないのでしょうね。
どこへ行ったらよいのか。何をしたらよいのか。それがわからないでいるのです。



 あなたにも、その年齢のとき、そういうことは、ありませんでしたか? 実は、私にはありまし
た。「学校」という世界で、何となく押し出されて、おとなにはなったのですが、おとなになったと
たん、そこに自分がいないのを知りました。



 今、ほとんどの子どもたちが、同じような悩みをかかえて、苦しんでいます。この日本では、何
も考えないで、おとなしく勉強だけしている子どものほうが、生きやすいのかもしれませんね。
勉強しかしない。勉強しかできない。勉強だけがすべてという子どもです。そういう子どもほど、
受験競争を、スイスイと勝ち抜いていく。親は、「いい子だ」と喜びますが、私には、お化けにし
か見えません。



 まともな子どもなら、悩みます。苦しみます。不安もあるだろうし、将来への心配もあるでしょ
う。しかし見方によっては、娘さんは、たくましい子どもということになります。その(たくましさ)
を、評価してやろうではありませんか。



 冒頭に書きましたように、17歳では、もうどうにもなりません。子どもというより、人格をもっ
た、1人の人間だからです。前にも書きましたが、子どもの巣立ちは、いつも美しいとは、かぎ
りません。親と、ののしりあいながら巣立っていく子どものほうが、多いくらいです。



 だから当然、(MTさんは、どうは思っておられないでしょうが……)、だからといって、子育て
に失敗したとか、親として失格などと、考えてはいけません。あなたはあなたで、懸命に子育て
をしてきたわけですから、それでじゅうぶんです。繰りかえしますが、ケースとしては、珍しくも何
ともありません。



 そういえば、同じような相談が、ある父親から、つい先日もありました。その相談は、私のHP
の、掲示板のほうに書きこんでありますから、また一度、そちらのほうも、のぞいてみてくださ
い。参考になると思います。励まされると思います。



 わかりやすく言えば、あなたの娘さんがまちがっているのではなく、今の日本の教育制度の
ほうが、おかしいのです。学校以外に道はなく、学校を離れて道はないという、その制度そのも
のに、です。



 本来なら、もっと人間のもつ多様性にあわせて、多様化したコースを用意しなければならない
のに、それをサボってきた、教育制度のほうこそ、おかしいのです。そういうことも頭のどこか
に入れて、あなたの娘さんを、理解するようにしてみてください。



 その父親からの相談のときも書きましたが、コツは、子どもの横に、友として立つようにする
ことです。友として、です。親意識など、もうこの際、捨てなさい。くだらないです。



 なお、こういう時期は、あっという間にすぎます。そしてあなたの娘さんが、22〜4歳になるこ
ろには、今の問題は、笑い話になります。私のごく近い知りあいの中には、こんな人もいます
よ。



 長男は、高校2年生のときに、無免許でバイクに乗り、事故。そのまま高校から退学処分。
二男は、暴走族に。その下に娘さんがいたのですが、この娘さんは、何とか高校だけは出まし
たが、親からみて、きわめて不本意な男性と結婚。結婚式も隠れてするような結婚でした。



 しかし今、3人も、すばらしい家庭を築いています。その知人の家には、毎週のように孫たち
が集まり、華やかで明るい笑い声が絶えません。



 人生というのは、そういうものです。ですから、子どものことは、許して忘れる。あとは窓をあ
け、ふとんを暖めて、子どもの帰りを待つ。どんなことがあっても、子どもを信じて、子どもの帰
りを待つ。それが親としての最後の努めということになるでしょうか。決して、あきらめてはいけ
ません。決して愛情の糸だけは、切ってはいけません。まさに根くらべです。それだけは、大切
に!



 あとは、静かに流れる時間が、問題のすべてを解決してくれます。

 


●子どもの問題・・・子どもに関する問題 ●親子の問題・・・親子に関する問題
●家庭の問題・・・夫婦家族に関する問題 ●その他・・・その他の問題


情報・画像の出展:はやし浩司先生

※このページの文章・及び画像の著作権は「はやし浩司」様が保有しています。
当サイトでは「はやし浩司」様のご厚意により許可を得て掲載させていただいております。


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