友だちと遊ばない子ども

 

適切な幼児教育は後の
人間形成において大変重
要であると考えています
が注意していただきたい
ことがあります。
幼児教育は完璧な育児や
教育を推奨するものでは
ないということです。


 ・愛情が第一を忘れない
 ・他の子どもと比較をしない
 ・完璧主義にならない
 ・結果を期待しすぎない
 ・ゆったりとした心を持つ
 子どもへの過剰な期待は
 親子共に大きなストレス
 になる可能性があります。
 ゆったりと構え、少しくら
 い上手くいかなくても
 「まぁ、いっか。」
 位に考えられることが幼
 児教育を続けられるポイ
 ントになります。 

友だちと遊ばない子ども  はやし浩司先生の子どもの問題・悩みQ&A

はやし浩司先生●Q:

はじめまして

About the troubles between children, this mother sent me an E-mail, saying what she should 
do in sunc and such case.

長女8歳(小2)と長男6歳(年長)の二人の子をもつ母です。子どもの友達関係の事
でメールしました。

長女は一人では遊ぶのが苦手で友達と遊ぶのが大好きな子なんですけど、7月頃から
友達と遊ぶ事がなくなりました。最初は一人でいたい時もあるのかなと思い気にして
なかったんですが、夏休み明けに偶然、公園で長女の同級生の何人かに会った時のこ
とです。同級生の子の一人がお菓子を持っていたのでみんなに配っていたのですが
「○○ちゃん(長女)にはあげない」と言ってくれませんでした。長女は悲しそうな
顔をするだけで何も言いません。そして次の日に他の同級生にあった時、長女は友達
と遊びたくて走って駆け寄ったら、みんな逃げて行ってしまったのです。その日から
そうゆう光景を何度か目にしています。それ以降気をつけて学校の様子を聞くと「放
課後は一人で本を読んでいるか、友達が遊んだりゲームをしているのを見ている」と言
います。仲間に加わる事はないみたいです。心配なので先生に上記の出来事を伝え、
様子を聞いたのですが「特に仲間ハズレにされている所はみかけません。」と言われ
ました。親の私からみると長女は気が弱いところがあったり少々難点はあるけれど、
特に問題のある性格だとは思ってなかったのですが、現状は友達と遊びたくても上手
くいってません。友達との事については話したがらないのであまり聞く事ができませ
ん。女の子は高学年になると派閥ができたり影でいじめがあったりすると聞き心配で
す。長女の学年は1クラスなので仲間ハズレにされたら小学校の間中ひとりでいるこ
とになりそうで怖いです。長女の友達に長女の事をどう思っている?と言う事も聞き
にくいので、どうしていいのかわかりません。

長男のことですが、お調子者で融通がきかない性格をしています。幼稚園で男の子同
士の争いも多いようで、長男は口が達者ではないし喧嘩でも負けることが多くてよく
拗ねたりごねたりします。友達から見下されていてリーダー格の子の気分で仲間ハズ
レにされることも少なくないようです。年少の頃から登園拒否をすることが何度もあ
りました。それでも今年の春までは男の子達のグループと遊んでいました。最近は仲
間に入れてもらいたいと言っているのですが、クラスの男の子の誰とも遊んでもらえ
ないのでしかたなく女の子と遊ぶ日が続いています。明るく振舞っているので先生に
分かってもらおうと長男の気持ち(男の子の仲間に入りたくても入れてもらえない。
一緒に遊ぼうと言っても無駄だからいじめられないように近寄らないようにしている
事)を伝えたのですが先生の態度は今までと変わっていませし、園での様子を聞いて
もあまり話してもらえません。長男の友達の一人が言うことには長男はよく怒ってい
るそうです。

来年は小学校に入りもっと親の目がいき届かなくなるので今のうちに状態を良くした
いと思うのですがどうすればいいのかわかりません。小学校は一クラスしかなく、今
の友達がみんな同じ学校に入るのでこれから先が不安です。どうしたら今の状態から
抜け出すことができるのでしょうか?

ところで先生にお聞きしたい事があるのですが、いじめはいじめる子だけに問題があ
ると思われますか?いじめられる子にもなにか原因があるのでしょうか?

一回のメールでずうずうしく二人分の相談事をしてしまいましたが同時に悩んでいま
す。私の育て方に問題があるのでしょうか?アドバイスをよろしくお願いします。

【はやし浩司より】

A:メ−ルありがとうございました。

親の心配は尽きないものです。特に子どもの人間関係には
気を使います。子どもが仲間とうまくつきあってくれればそれでよし。
そうでなければ、これまた頭痛のタネです。心配もそこから生まれます。
しかし子どもは、外の世界で、そのつどつらい思いをしながら、人間的に
成長していきます。この「つらさ」を、どこでどの程度与えるか。いいかえると
親は子どもが感ずるであろう「つらさ」にどこまで寛容であるかということに
なります。

一つのポイントは、(1)子どもが、そのつらさに耐えられる範囲であれば、
親としては苦しいことかもしれませんが、がまんするしかないということです。
口を出したり、介入すればするほど、結局は子どもが社会性のない子どもに
なってしまいます。問題を先送りするだけになってしまうということです。
(2)しかし親の目から見て、子どもに何らかの情緒的、精神的変化が見られたら
そのときは、積極的に介入していきます。(神経症、情緒不安症状、何らかの
精神障害的な症状などが見られたら、ということです。
神経症などについては、私のサイトに書いておきましたので、参考に
してください。)

メールの内容ですと、お嬢さんの先生も、弟さんの先生も、それほど積極的に
(つまり深刻に)考えておられないということは、一応プロの目から見て、
「あまり問題ない」とみておられるのではないかということです。
つまり「よくある、日常的な問題」という範囲ではないかということです。
先生には、問題をすでに話しておられるということですので、学校や幼稚園での
問題は、先生と子どもに任すしかないと思います。

そこで家庭ではどうするかということですが、(1)外の世界でかなり神経を
するへらしているようであれば、(実際、そうでしょうが……)、家の中では
子どもの生活をゆるめます。家庭の役割を、「しつけ」から、「やすらぎの場」へと
変化させます。多少、親に向かって生意気なことや、乱暴なことを言っても
許します。「ああ、うちの子は、外でつらい思いをしているから、家の中で
荒れるのだ」とです。そうして暖かい、濃厚なスキンシップのある家庭に
します。(日本人は本当にスキンシップのない国民です。少なすぎます!)

二人のお子さんに社会性(問題解決の技法として、人間関係をうまく調整
できないこと)は、多分に、お母さんの育て方に問題があったようです。
あなたはお子さんが小さいとき、親子だけの、マンツーマンの世界だけで
子育てをしませんでしたか? お子さんが「ものわかりのよい人」だけの
世界で育てられると、いわゆる社会性のない子どもになります。
今でもそうですが、お母さんの心配過剰な子育てが、(イコール過保護が)
今の状態を作り出していると考えてもよいのではないでしょうか。

もっとも過去のことを持ち出しても、いまさらどうにもなりませんが、
要するに、(1)もうこれから社会性のある子どもにするのは、たいへん……
というより、あきらめます。その上で、(2)「うちの子どもは、こんなものだ」
「人間関係が苦手なのだ」とわかってあげることです。オールマイティな
子どもを望まないこと。そういう子どもを求めないこと。約30%の子どもは
あなたのお子さんのようですし、集団行動を嫌います。(子どもだから
遠足や運動会が好きなはずと考えるのは、まちがいです。)
年長児になったら、子どもの「核」が見えてきますので、その核にあわせた
子育てを考えます。得意な面、苦手な面がはっきりしてくるということです。

少し問題を感ずるのは、お姉さんのほうです。

外の世界で、仮面をかぶっていませんか。いい子ぶったり、心の
状態を隠したりするとか。あなたというお母さんの前ではどうですか?
もしそうなら、過干渉、過関心を疑ってみてください。うれしかったら、
うれしそうな顔をし、そうでなかったら、そうでな顔をする。そうであれば、
問題はありません。心がつかみにくいと感ずるようであれば、少し
様子をみてください。あなたの前でおおいに甘え、おおいに言いたいことを
行っているようであれば、問題はありません。

弟さんは、女の子と遊ぶのが好きということですが、
これはお母さんの影響力が強すぎた(父親の影が薄い?)ということです。
今、そういう子どもは(男の子)は珍しくありません。
(実のところ、私も、母親との交際が主体なため、女性が集まる講演会は
得意ですが、父親が集まる講演会は苦手です。そういうものです。)
これも過去の育て方の問題に踏み込んでしまいますので、
いまさら問題にしても意味がありませんね。まあ、そういう状態なら
そういう状態でいいのではないでしょうか。やはり男児でも、実際
約30%(推定)は、女の子と遊ぶのが好きなどと言っています。
(実際のところ、小学校の低学年児でみるなら、最近では、
いじめるのは女の子、いじめられるのは男の子という図式がもう
20年ほど前からできています。男の子がやさしく、その一方で
昔的なたくましさをさくしているのは事実です。家庭環境、教育環境、
さらには環境ホルモン説までありますが、ともかくも事実はそんな
ところです。)

いじめについてですが、内容はきわめて複雑です。単なるいじわるから、
嫉妬がからんだ陰湿なものまで、いろいろあります。
本能的な闘争心に根ざすいじめもあれば、いじめられる前に
別の子どもをいじめるという防衛的ないじめもあれば、また
ストレスを発散するためのいじめもあります。で、それぞれの
ケースで、いじめられる側の問題も変わってきます。ですから
ご質問の件には、「あります」とも、「ない」とも答えられません。
(いじめを論じたら、それだけで膨大な量になってしまいます。
近くサイトにまとめておきますので、またサイトをご覧になってください。)

あなた様のケースでは、まだ「いじめられている」という段階ではないように
思います。年齢も小さいですし、本格的な「いじめ」は、そんなものではないです
よ。
熾(し)烈というか、陰湿というか、もっともっと激しいものです。
もしそうであれば、それはそれとして問題にしますが、メールの範囲内で
あれば、「よくある通常の悪戯」と考えていいのではないでしょうか。

で、問題が一つあるとすれば、あなた自身のことです。
過関心? 不安神経症? 過保護? ……などが疑われます。
お子さんが自分で外の世界でがんばっているようであれば、子どもの
世界のことは子どもに任せて、あなたは少し、親業から離れて、
つまり子育てを忘れて、外の世界を見たらいいのではないでしょうか。
そうでないと、あなた自身が、精神的にまいってしまいますよ。
お子さんがリーダー格の子どもの「下」に入るのは、親としても
どこかなさけない気持ちになるものですが、この段階では、どうにも
なりません。もし心配なら、お子さんの「一芸」を伸ばすようにします。
私のサイトから「一芸論」を検索して、どうか参考にしてください。
ヤフーで、「はやし浩司 一芸論」を検索すると、読んでいただけると
思います。要するに、「下」に入ったからといって、それがずっと続くものでは
ないし、リーダー格だから、それがずっと続くというものではないということです。
「下」にいる子どもでも、下を学ぶことによって、やがてべつのところで
リーダーになったり、あるいは同時に別のところで子分になったりしながら、
複雑な人間関係を展開するようになります。ここは静観したらよいと思います。
(親として、すべきことはないので……。)

いただく相談はもっともっと深刻なものが多いですよ。それにくらべたら、
二人とも、問題なく、いいお子さんのようですから、お母さんは
もっと自信をもって前向きに進んでください。親としてすべきことがあるなら、
キズついて、疲れて学校や幼稚園から帰ってくるお子さんを、暖かく
迎えてあげることぐらいしかもうありません。「よくがんばっているわね」と
お子さんの心を理解してあげてください。そういうねぎらいが、お子さんの
心をいやし、疲れを取ります。今のところ、初期症状としての神経症は
出ていないようなので、この点はうまくいっていると判断されます。

お母さんはお母さんで、そろそろ子離れの準備をします。子どもは小学
3年生くらいから親離れを始めますよ。お母さんはお母さんで子育てを
忘れられるような環境を自分の周囲に用意します。

何か神経症的な、心の問題が出てきたときには、また相談してください。力に
なれます。では……。

Q:はじめまして・・・。高3と中3の娘をもつ母親です。次女のことで、「ず〜〜っと」悩んでおりま
す。(涙)。
もっと早くに、このページにめぐりあっていれば・・・と後悔しきりです。中日新聞の「子育て論」
は読んでいましたし、一度、講演を聞かせていただいたこともあります。次女は中2の頃から、
目だって悪くなった様です。生活態度、言葉づかい等・・・昨年暮れ頃から、一つ年上の「彼氏」
ができ、すぐに、心配な交際(あえてそう言わせていただきます)の仕方となり、「最後の一線」
までは、どうか・・・親としては、それだけは守っていてほしい!と思うのですが、定かではありま
せん・・・このような心配は、私がたまたま耳にした、二人の電話でのやりとりや、手紙の内容
(いけない事とと承知で見てしまった)から、生じました。かなり衝撃的な内容で、(とても口では
いえない様な・・・性的表現)非常にショックを受けました。・・・いつからこんな子に・・・!?
と・・・。携帯電話も、親に内緒で勝手にプリペイド式のを購入し、もう何回か、カードを買い換え
ています。彼氏やクラスの男子と、くだらないエッチメールを交換しているようです。(あまりに
も、強烈な・・・)。今どき?と思われるかもしれませんが、うちは特にお小遣いはあげてなく、
時々おばあちゃん(私の実家の母)からいただくお小遣いから、カードなどは買っていて、その
他服など、入用に応じて、お金を与えています。(しぶしぶ)。

先生はよく、「勉強」のことは言ってはならないとおっしゃっていますが、「受験生」真っ只中の娘
は、本当に勉強からはほど遠い生活態度なんです。今、この場に及んでも、机の上には、分厚
いプリクラ帳と、マニキュア、毛抜き、鏡が置いてあって、いわゆる勉強道具はどこへやら・・・と
いう状態です。明日も、塾の模試があるらしいのですが、全く勉強に手がつかず、鱈腹食べて
は、(静かだと思うと)寝ている、という状態・・・今月ある英検(準2級)も自分から受けるといっ
て、受験料を支払ったものの、これまたどういうつもりなのか、マッタク勉強していません。私
も、たまりかねて、「受ける限りは、合格できるように努力したら?」とか、いってはみるのです
が、うん・・・と一応答えるだけ。なんだか、自分で勉強できなくなってしまっている、仕方がわか
らない?(今さらながら・・・)という感じがします。いったい、どういうつもりなのか・・・本人は、
「どっか、公立には入ってやるさぁー」みたいな言い方しますが、本心はちゃんと入りたい高校
があるのです。(それは、彼氏のいる高校なのですが)。でも、このままでは・・・。この時期皆そ
れぞれにガンバッテいることですし、こんなに勉強しないでいたら、実力なんてつきっこない
し、・・・私自信がかなり不安でいっぱいです。(←先生は、こんな言い方をすると、お笑いにな
るかもしれませんが(^−^;)やはり、失敗はこわいです。本人だって、絶対そのはずです!誰
だって、希望がかなって、幸せな気分で、笑って卒業式を迎えたいと思います。・・・まだまだと
思っていたこの時期もあっという間に訪れてしまい、日々は、どんどん過ぎてゆくのです・・・!
こうしていると、わたしはどうにかなりそうでー不安と焦りーのんき(本当はそうじゃないのかもし
れませんが)に寝ている娘が、憎らしいような、はがゆいような、なんともいえない嫌な気分で
す!!

それから、いったいこれはどういう「心理」かしら?と思うのですが・・・とにかく目立ちたがり屋
で、(本人も言っています)後期学級委員に立候補したり、「卒業式のとき、みんなの前で何か
言いたい」←(そんな次第があるか知りませんが)と言ったり、やたら声が大きかったり・・・ちょ
っと、あれっ?って思ってしまうような言動なのですが、これはどうなんでしょうか?なんか、心
理的に欠陥があるのでは?などと心配になります。

長くいろいろと書いてしまいましたが、私の悩み、心配はつきません・・・一刻でも早く、こんな状
態から開放されたい・・・っていうか、娘自信をなんとか良い方向へ(言い方悪いですが)向かわ
せたい!!という一心です。先生、お時間がなかなか足りないのでしょうが、どうか、こんな
「母」の悩みにお答えを頂戴したいと思います!勝手なお願いですが、できる限り早くに・・・(す
みません・・・)

このQコーナーを知って、藁をもすがる思いです。。。
どうか、よろしくお願い致します。     ☆とっても悩める母より☆


A:メールをいただきました。

まず前もって、お話しますが、「悩める母」様(以後Nさん)の悩みは、多かれ少なかれ、
ほとんどの親がもつ共通の悩みですよ。男女の性交渉にしても、もう関東地域では、
約70%弱の女子高校生が、卒業までに性体験をしています。また高校進学については
今、この静岡県では、約60%が、内申書による推薦入学という現状になっています。
私たちの時代とは、ものの考え方が違うし、社会も変わってきています。受験制度その
ものも変わってきています。
 
そういう前提で、Nさんのケースですが、お嬢さんのようなケースも、これまた多くはなくても珍し
くありません。まず第一に、「うちの子だけが……、なぜ?」というような悩み方はしないでくださ
いね。子どもは親離れをし、そして巣立っていきますが、それはいつも必ずしも、美しいものば
かりとは限りません。中には、壮絶な親子戦争を繰り返して巣立っていく子どももいます。そし
てここが大切なことですが、どんな巣立ちであるにせよ、Nさんの愛情がしっかりしていれば、
必ず子どもはあなたのところに戻ってくるということです。

単調直入に言いましょう。今、あなたがかかえている問題は、どれもいつか「笑い話」になるよ
うな問題ばかりです。いつかあなたは二女の方にこう話すのです。「あんたは、中学生のとき、
たいへんだったのよ。お母さん、心配したのよ」と。するとあなたのお嬢さんは、こういうので
す。「まあね、いろいろ心配かけて、ごめん」と。
 
順に話していきます。
 
(1)この問題は、「今の状態より、より悪くなって、はじめて今の状態が軽かった」と気づくことを
繰り返して、あなたから見れば(本当はそうではないのですが)、どんどんお嬢さんは悪く(?)
なっていきます。今はまだ塾へも通っている、立候補もするという状態ですが、それも今の状態
では風前のともしびかもしれませんね。今ここで大切なことは、今の状態をこれ以上、悪くしな
いことだけを考えて、お子さんと接することです。今はまだ進学のことを本人も多少は心配して
いるようですが、しかしここで追い込んでしまうと、その進学すら放棄してしまうかもしれませ
ん。そのとき、あなたは、今の状態が、まだよかったと気づくのです。
 
(2)セックスの問題は、これは熱病のようなものです。私も教える側から見ると、性体験してい
る女子中学生は、その様子からすぐわかります。「男」を見るめつきが、なまめかしくなるから
です。しかしそういう女子中学生を無数に見てきましたが、高校生になると、これまたふつうの
高校生になっていくから不思議です。(ふつうにするかしないかは、Nさんが、お子さんとのきず
なを切るかきらないかの違いです。このあとに、10月号にファミリスに書いた原稿を添付して
おきます。参考にしてください。)つまり熱病のようなものですから、抑えても抑えきれないでしょ
う。どうしようもないのです。私も、かつてはそういう中高校生を懸命に指導した経験もあります
が、結論は、「もう関せず」です。NさんにはNさんの、性教育観があるのでしょうが、今の若い
人たちは、別の観点で動いています。ショックを与えるようなことを言いますが、恐らく、年上の
男の子に誘惑されたというよりは、お嬢さんのほうが多分積極的だと思います。(今は、もう、
男の子が遊ばれる時代なのです。)

ですから、今は、避妊と性病だけに心配し、その指導を家庭でするしかないです。とにかく、今
の状況を悪くしないことだけを考えてください。本人たちに罪悪感などないのですから、いくら説
教してもムダですよ。
 
(3)受験についてですが、二女の方は、あなたが思っている以上に、学校で苦しみ、キズつい
ています。ただ誤解ですが、私は「勉強については言ってはならない」とは、書いたことはありま
せん。受験勉強は子どもの心に大きな影響を与えるとはあちこちで書いています。「言う」につ
いても、注意しなさいという意味です。追い込むと子どもの心をゆがめます。Nさんのあせる気
持ちはわかりますが、子育てはまさに許して忘れるの連続。そしてここが重要ですが、「あきら
めは悟りの境地」です。先ほども書きましたよに、今はもう受験制度もちがいますし、学校の指
導も変わってきています。それ以上に子どもたちの意識も変わってきています。昔は勉強がよ
くできる子どもは、それだけで尊敬されたものですが、今はむしろ「へんなヤツ」と見られたりし
ます。それにあわせて社会の構造も変わってきています。これからの日本は、学歴ではなく、
欧米型のプロ型社会がやってきます。どんなことでもいいのです。プロが生き残る時代が、もう
すぐそこまできているのです。意識改革をすべきは、まさに私たち自身のほうだということで
す。
 
(4)不安なNさんへ、

こう書いてもなぐさめにしかなりませんが、みんな不安ですよ。子どものテスト週間になると、病
院通いしたり、おかゆしかのどをとおらないという人は、いくらでもいます。息子が受験に失敗し
たあと、自殺をはかった母親すらいます。決してあなただけではないのです。それもこれも、も
とを正せば、明治以来(あるいは平安の昔から)続いた学歴信仰が原因なのです。私たちは、
みな、学歴信仰というカルト教団の信者なのです。もっと言えば、あなたの不安は、「つくられた
不安」ということです。もっと言えばあなた自身のエゴにもとづいた不安です。あなたがお嬢さん
をあなたの思い通りにしたいだけ。思い通りにならないから不安に思っているだけです。あなた
のお嬢さんは何も不安に思っていないのですから……。今、中学生で、家でまともに勉強して
いる子どもは、約10〜15%とみてよいでしょう。そんなものです。あなたはガリガリと机に向か
って受験勉強をするお嬢さんを理想の娘と思っているかもしれませんが、そんな子どもは、もう
いないということ。
 
(5)思うようにならないのが子育て。しかしそれでも子どもは育っていく。親は夢や希望を一枚
ずつはがされながら、自分の子育てを終えていくのです。あなただけではないし、あなたのか
かえている問題は、まだまだ軽い! もっと深刻なケースで苦しんでいる人はいくらでもいるし、
みんな外面をよくしているだけ。近所のSさんなんかは、二人の息子とも、高校へ入ってすぐ中
退。下の子どもは、そのまま名古屋にある人形劇団に入団。今は遊園地などでぬいぐるみを
着て踊っています。当時のSさんは死ぬほど苦しんだのですが、今は息子さんが楽しそうに踊
っている姿を見ながら、笑い話にしていますよ。そしてこう言っています。「人間、何でも、じぶん
の好きなことをすればいいのよね」とです。Nさんも、あと一歩でそういう境地に達することがで
きるようになりますよ。


Hiroshi Hayashi++++++++JAN 08++++++++++はやし浩司

●最初は小さな亀裂

Very often the relationship between parents and their children collapse. This is an article 
about it.

最初は、それは小さな亀裂で始まる。しかしそれに気づく親は少ない。「うちの子に限って…
…」「まだうちの子は小さいから……」と思っているうちに、互いの間の不協和音はやがて大き
くなる。そしてそれが、断絶へと進む……。
 今、「父親を尊敬していない」と考えている中高校生は55%もいる。「父親のようになりたくな
い」と思っている中高校生は79%もいる(「青少年白書」平成十年)。が、この程度ならまだ救
われる。親子といいながら会話もない。廊下ですれ違っても、目と目をそむけあう。まさに一触
即発。親が何かを話しかけただけで、「ウッセー!」と、子どもはやり返す。そこで親は親で、
「親に向かって、何だ!」となる。あとはいつもの大げんか!
……と、書くと、たいていの親はこう言う。「うちはだいじょうぶ」と。「私は子どもに感謝されてい
るはず」と言う親もいる。しかし本当にそうか。そこでこんなテスト。
あなたの子どもが、学校から帰ってきたら、どこで体を休めているか、それを観察してみてほし
い。そのときあなたの子どもが、あなたのいるところで、あなたのことを気にしないで、体を休め
ているようであれば、それでよし。あなたと子どもの関係は良好とみてよい。しかし好んであな
たの姿の見えないところで体を休めたり、あなたの姿を見ると、どこかへ逃げて行くようであれ
ば、要注意。かなり反省したほうがよい。ちなみに中学生の多くが、心が休まる場所としてあげ
たのが、(1)風呂の中、(2)トイレの中、それに(3)ふとんの中だそうだ(「学外研」九八年報
告)。

●断絶の三要素

 親子を断絶させるものに、三つある。権威主義、相互不信、それにリズムの乱れ。「私は親
だ」というのが権威主義。「子どものことは、私が一番よく知っている」「子どもは親に従うべき」
という親ほど、あぶない。親が権威主義的であればあるほど、子どもは親の前では、仮面をか
ぶる。いい子ぶる。が、その分だけ、子どもの心は離れる。親は親で、子どもの心を見失う。次
に相互不信。「うちの子はすばらしい」という自信が、子どもを伸ばす。しかし親が「心配だ」「不
安だ」と思っていると、それはそのまま子どもの心となる。人間の心は、鏡のようなものだ。イギ
リスの格言にも、「相手は、あなたが思っているように、あなたのことを思う」というのがある。つ
まりあなたが子どものことを「すばらしい子」と思っていると、あなたの子どもも、あなたを「すば
らしい親」と思うようになる。そういう相互作用が、親子の間を密にする。が、そうでなければ、
そうでなくなる。三つ目にリズム。あなたの子どもがまだヨチヨチ歩きをしていたころを思い出し
てみてほしい。そのときあなたは子どもの横か、うしろを歩いていただろうか。そうであれば、そ
れでよし。しかしあなたが子どもの前を、子どもの手を引きながら、ぐいぐいと歩いていたとする
なら、あなたと子どものリズムは、そのときから狂い始めていたとみる。おけいこ塾でも何でも、
あなたは子どもの意思を無視して、勝手に決めていたはずだ。今もそうだ。これからもそうだ。
そしてあなたは、やがて子どもと、こんな会話をするようになる。親「あんたは誰のおかげでピ
アノがひけるようになったか、それがわかっているの! お母さんが高い月謝を払って、毎週ピ
アノ教室へ連れていってあげたからよ!」、子「いつ誰が、そんなこと、お前に頼んだア!」と。
 権威主義は百害あって一利なし。頭ごなしの命令は、タブー。子どもを信じ、今日からでも遅
くないから、子どものうしろを歩く。決して前を歩かない。アメリカでは親子でも、「お前はパパに
何をしてほしい?」「パパはぼくに何をしてほしい?」と聞きあっている。そういう謙虚さが、子ど
もの心を開く。親子の断絶を防ぐ。


Hiroshi Hayashi++++++++JAN 08++++++++++はやし浩司

 (2)子どもが非行に走るとき

●こぼれた水は戻らない

 子どもは、なだらかな坂をのぼるように成長するのではない。ちょうど階段をトントンとのぼる
ように成長する。子どもが悪くなるときも、そうだ。(悪くなる)→(何とかしようと親があせる)→
(さらに悪くなる)の悪循環の中で、子どもは、トントンと悪くなる。その一つが、非行。暴力、暴
行、窃盗、万引き、性行為、飲酒、喫煙、集団非行、夜遊び、外泊、家出など。最初は、遠慮
がちに、しかも隠れて悪いことしていた子どもでも、(叱られる)→(居直る)→(さらに叱られる)
の悪循環を繰り返すうちに、ますます非行に走るようになる。この段階で親がすべきことは、
「それ以上、症状を悪化させないこと」だが、親にはそれが理解できない「なおそう」とか、「元に
戻そう」とする。しかし一度、盆からこぼれた水は、簡単には戻らない。が、親は、無理に無理
を重ねる……。

●独特の症状

 子どもが非行に走るようになると、独特の症状を見せるようになる。脳の機能そのものが、変
調すると考えるとわかりやすい。「心の病気」ととらえる人もいる。実際アメリカでは、非行少年
に対して薬物療法をしているところもある。それはともかくも、その特徴としては、(1)拒否的態
度(「ジュースを飲むか?」と声をかけても、即座に、「ウッセー」と拒否する。意識的に拒否する
というよりは、条件反射的に拒否する)、(2)破滅的態度(ものの考え方が、投げやりになり、
他人に対するやさしさや思いやりが消える。無感動、無関心になる。他人への迷惑に無頓着
になる。バイクの騒音を注意しても、それが理解できない)、(3)自閉的態度(自分のカラに閉
じこもり、独自の価値観を先鋭化する。「死」「命」「悪霊」などという言葉に鋭い反応を示すよう
になる。「家族が迷惑すれば、結局はあなたも損なのだ」と話しても、このタイプの子どもには
それが理解できない。親のサイフからお金を抜き取って、それを使い込むなど)、(4)野獣的
態度(行動が動物的になり、動作も、目つきが鋭くなり、肩をいからせて歩くようになる。考え方
も、直感的、直情的になり、「文句のあるヤツは、ぶっ殺せ」式の、短絡したものの考え方をす
るようになる)などがある。

 こうした症状が見られたら、できるだけ初期の段階で、親は家庭のあり方を猛省しなければ
ならない。しかしこれがむずかしい。このタイプの親に限って、その自覚がないばかりか、さら
に強制的に子どもをなおそうとする。はげしく叱ったり、暴力を加えたりする。これがますます子
どもの非行を悪化させる。こじらせる。

●最後の「糸」を切らない

 家族でも先生でも、誰かと一本の「糸」で結ばれている子どもは、非行に走る一歩手前で、自
分をコントロールすることができる。が、その糸が切れたとき、あるいは子どもが「切れた(捨て
られた)」と感じたとき、子どもの非行は一挙に加速する。だから子どもの心がゆがみ始めたら
(そう感じたら)、なおさら、その糸を大切にする。「どんなことがあっても、私はあなたを愛して
いますからね」という姿勢を、徹底的に貫く。子どもというのは、自分を信じてくれる人の前で
は、自分のよい面を見せようとする。そういう性質をうまく使って、子どもを非行から立ちなおら
せる。そのためにも最後の「糸」は切ってはいけない。切れば切ったで、ちょうど糸の切れた凧
ように、子どもは行き場をなくしてしまう。そしてここが重要だが、このタイプの子どもは、「なお
そう」とは思わないこと。現在の症状を今より悪化させないことだけを考えて、時間をかけて様
子をみる。一般に、この非行も含めて、「心の問題」は、一年単位(一年でも短いほうだが…
…)で、その推移を見守る。こじらせればこじらせるほど、その分、子どもの立ちなおりは遅れ
る。



●子どもの問題・・・子どもに関する問題 ●親子の問題・・・親子に関する問題
●家庭の問題・・・夫婦家族に関する問題 ●その他・・・その他の問題


情報・画像の出展:はやし浩司先生

※このページの文章・及び画像の著作権は「はやし浩司」様が保有しています。
当サイトでは「はやし浩司」様のご厚意により許可を得て掲載させていただいております。


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