心にキズをもった子ども

 

適切な幼児教育は後の
人間形成において大変重
要であると考えています
が注意していただきたい
ことがあります。
幼児教育は完璧な育児や
教育を推奨するものでは
ないということです。


 ・愛情が第一を忘れない
 ・他の子どもと比較をしない
 ・完璧主義にならない
 ・結果を期待しすぎない
 ・ゆったりとした心を持つ
 子どもへの過剰な期待は
 親子共に大きなストレス
 になる可能性があります。
 ゆったりと構え、少しくら
 い上手くいかなくても
 「まぁ、いっか。」
 位に考えられることが幼
 児教育を続けられるポイ
 ントになります。 

心にキズをもった子ども  はやし浩司先生の子どもの問題・悩みQ&A

はやし浩司先生●【大阪府T市在住の母親より】



幼稚園で不登園になって以来、小学校に 入学してから今まで 毎日 学校でつき添って登校
しています。

最近 「ぼくは、死んだほうがいいんだ。」「お母さんは、僕が嫌いなんだ。」「どうせ何をやって
もうまくできない」と、毎日言います。

幼稚園に行かなくなったときに 私が、死にたいほど辛く 本人にもかなりひどいことを言ってし
まったのを、思い出しているのかも知れません。最近になって、アスペルガ−症候群だといわ
れました。

子どもに 自己に自信をつけてあげるには、どのように接してあげれば、いいでしょう?毎日 楽
しく生活できるようにと 思っているのですが、毎日 あまりにもしつこく言われ 私も いらいら
してしまいます。
(大阪府T市、CFより)

+++++++++++++++++

 アスペルガー症候群については、たびたび書いてきたので、ここでは、簡単に説明だけして
おく。

 自閉症的な症状を示しながら、知的な発達障害の見られない子どもが見せる症候群を、アス
ペルガー症候群という。ふつう自閉症というときは、言語能力などの分野で、知的発達障害を
ともなくことが多い。が、アスペルガー児には、そういった発達障害は、見られない。むしろ、数
学や算数の分野などで、特異な能力を見せることが多い。

 正確には、自閉症の中でも、正常レベルに近い子どもを、「高機能自閉症児」という。その中
でも、さらに正常に近い子どもを、「アスペルガー児」という。高機能自閉症児と、アスペルガー
障害児をまとめて、「高機能広汎性発達障害児」と呼ぶ。

 しかし名前だけはぎょうぎょうしいが、要するに、対人関係に問題がある子どもというだけで、
それ以上に問題はない。「個性」と位置づける研究者も多いし、実際、教育現場では、そういう
方向で、指導をしている。

++++++++++++++++

 この相談のばあい、その子どもが、アスペルガー児であるかどうかは、不随的な問題と考え
てよい。アスペルガー児だから、「死んだほうがいい」という言葉を口にするわけではない。た
だ、対人関係の調整が、きわめて苦手な子どもなので、ささいなことで、キズつきやすいという
こと。

 で、気になるのは、母親自身が、「私が、死にたいほど辛く、本人にもかなりひどいことを言っ
てしまったのを、思い出しているのかも知れません」と告白している部分である。

 恐らくそういった接し方を、その母親は、一度とか、二度とかではなく、ごく日常的に、態度を
とおして、していたのかもしれない。

 そのため、子どもの心は、キズついた。アスペルガー児であるというなら、なおさら、デリケー
トな心をもっていた。子どもの年齢は書いてないので、よくわからないが、低学年児であるな
ら、この言葉は、痛々しい。

【CFさんへ……】

 CFさんも、当時は、いろいろ混乱していたのだと思います。子どもの様子が、少し変わってい
るということで、いろいろ悩んだのだと思います。そして、(ひどいこと)を口にしてしまった。

 この問題は、CFさんの子どもが、アスペルガー児であるとかないとかいうこととは、一度、切
り離して考えてみたほうが、よいのでははいないかと思います。そして過去の失敗は、いまさ
ら、悔やんでもしかたのないこと。

 問題は、これから先、どうするか、ですね。

 幸いなことに、CFさんは、今、そういう自分を深く、後悔しています。そして自分やあなたの子
どもを、冷静に見つめています。ここがとても重要な点です。というのも、世の中には、そういう
子どもをもちながら、その子どもの心を知らないまま、子どもを叱りつづける親も多いからで
す。

 ほとんどの親は、子どもに何か問題が起きると、自分を改めようとする前に、「子どもをなお
そう」と考えます。しかしこれほど、身勝手な考え方はありません。

 実のところ、私自身も、「アスペルガー症候群」という言葉を、ほんの5年前にさえ知りません
でした。当時、ある母親から、子育て相談会の席で相談され、そういう症状があることを知りま
した。今から思うと、それがアスペルガー症候群でした。

(この名称が一般的になったのは、ここ数年のことではないでしょうか。私の勉強不足かもしれ
ません。

 対人関係が結べず、その子どもの母親も、深刻に悩んでいました。「完ぺき主義で、だれか
にまちがいを指摘されたりすると、錯乱状態になる」と。

 で、その子どもは、小学3年生になるまで、私は指導しました。その子どもについては、また
別の機会に詳しく書くとして、そんなわけで、私は、「死にたいほどつらく思い、子どもにひどい
ことを言った」あなたを、責めることができません。

 で、その結果、あなたの子どもの心は、ひどくキズついてしまったというわけです。

 ただ、一つ、誤解してはいけないのは、こうした対人関係がうまく結べない子どものばあい、と
きとして、相手に同情を求めながら、相手の心を試すということは、よくあることということです。

 「死」という言葉にしても、言葉として、そう言うかもしれませんが、あまり本気にしてもいけま
せん。「死ぬ」「死ぬ」と言って、死んだ子どもはいません。子どもが死を選ぶのは、あくまでも、
何かのことで行きづまった、その結果です。……といっても、やはり痛々しい言葉ですね。本来
なら、絶対、子どもには口にしてほしくない言葉です。

 こういうケースでは、まさにあなたの親としての、愛の資質が試されます。どんなことがあって
も、「許して、忘れる」です。あとは、暖かい無視を繰りかえし、子どもが、何かのスキンシップや
愛情表現を求めてきたら、すかさず、いとわず、ていねいにそれに答えてあげるということで
す。

 あとは、時の流れに任せましょう。コツは、そういったテーマや問題には、触れないことです。
うまく、聞き流すことです。「暖かい無視」という言葉がありますが、私も好きな言葉です。うま
く、応用してみてください。

 ただとても残念なことですが、一度ついた心のキズは、簡単には消えません。忘れることはで
きますが、消えません。

 しかしだれしも、そうしたキズを無数にもちながら、つまりキズまるけになりながら、成長し、生
きていくものです。ですから、CFさんの子どもが、こうしたキズをもっているとしても、それはそ
れとして、前向きに生きていくしかありません。

 コツは、その問題にふれないように。話題にしないように。あまり気にしないように。

 なお、こんな指導法もありますから、参考にしてください。

 ある中学生の男子ですが、何かにつけて、ゆううつな話題をもちかけてきます。……きまし
た。

 たとえば、こうです。

 「ぼく、今度のテストで、悪い点を取るような気がする」
 「高校へ入っても、また勉強するなんて、いやだ」
 「昨日、友だちが、ぼくを無視した」と。

 最初のうちは、その中学生に相談に、そのつどあれこれ答えていましたが、そのうち、私の
ほうもいやになり(本音!)、やがて、こう答えるようにしました。すぐ、話題を、切りかえるので
す。

 その子どもが憂うつそうな顔をして、話しかけてきたら、すかさず、「ほほう、君は、いい趣味
しているねえ。このサイフ、かっこいいね。もらったの? 買ったの?」と。

 あるいは、「もうすぐ運動会だね。君は、何に出場するの? 子どものころから、君は、走る
のは速かったんだろ?」と。

 つまりその瞬間、瞬間に、明るい話題に、こちらからもちこんでいきます。この方法は、たい
へん効果的ですから、ぜひ、CFさんのご家庭でも、応用してみてください。

 なお、いただきましたメールですが、マガジン用に、転載することを、どうかお許しください。不
都合な点があれば、改めます。どうか、至急、ご連絡ください。勝手なお願いですみません。
(はやし浩司 高機能自閉症児 アスペルガー アスペルガー症候群 子どもの心 子ども キ
ズ)


●子どもの問題・・・子どもに関する問題 ●親子の問題・・・親子に関する問題
●家庭の問題・・・夫婦家族に関する問題 ●その他・・・その他の問題


情報・画像の出展:はやし浩司先生

※このページの文章・及び画像の著作権は「はやし浩司」様が保有しています。
当サイトでは「はやし浩司」様のご厚意により許可を得て掲載させていただいております。


このページのトップへ

Yahoo!ブックマークに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote