音読と黙読

 

適切な幼児教育は後の
人間形成において大変重
要であると考えています
が注意していただきたい
ことがあります。
幼児教育は完璧な育児や
教育を推奨するものでは
ないということです。


 ・愛情が第一を忘れない
 ・他の子どもと比較をしない
 ・完璧主義にならない
 ・結果を期待しすぎない
 ・ゆったりとした心を持つ
 子どもへの過剰な期待は
 親子共に大きなストレス
 になる可能性があります。
 ゆったりと構え、少しくら
 い上手くいかなくても
 「まぁ、いっか。」
 位に考えられることが幼
 児教育を続けられるポイ
 ントになります。 

音読と黙読  はやし浩司先生の子どもの問題・悩みQ&A

はやし浩司先生●【Fさんからの質問に答えて

……】

 Fさんから、「音読と、黙読は、どちらがよいですか?」という質問をもらった。当然、黙読がよ
いに決まっている。それについて書いた原稿を、二作、ここに添付する。

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●音読と黙読は違う

 小学三年生くらいになると、読解力のあるなしが、はっきりしてくる。たとえば算数の文章題。
読解力のない子どもは、問題を読みきれない、読みまちがえる、など。あちこちの数字を集め
て、めちゃめちゃな式を書いたりする。親は「どうしてうちの子は、問題をよく読まないのでしょ
う」とか、「そそっかしくて困ります」とか言うが、ことはそんな簡単なことではない。

 話は少しそれるが、音読と、黙読とでは、脳の中でも使う部分がまったく違う。音読は、一度
自分の声で文章を読み、その音を聞いて文の内容を理解する。つまり左脳がそれをつかさど
る。

一方黙読は文字を図形として認識し、その図形の意味を判断して文の内容を理解する。つま
り右脳がそれをつかさどる。音読ができるから黙読ができるとは限らない。ちなみに文字を覚
えたての幼児は、黙読では文を読むことができない。そんなわけで子どもが文字をある程度読
むことができるようになったら、黙読の練習をさせるとよい。方法は、「口をとじて本を読んでご
らん」と指示する。

ある研究団体の調査によれば、黙読にすると、小学校の低学年児で、約三〇%程度、読解力
が落ちることが」わかっている(国立国語研究所)。

 ではどうするか。もしあなたの子どもの読解力が心配なら、方法は二つある。一つは、あえて
音読をさせてみる。たとえば先の文章題でも、「声を出して問題を読んでごらん」と言って、問題
を声を出させて読ませてみる。読んだ段階で、たいていの子どもは、「わかった!」と言って、
問題を解くことができる。が、それでも効果があまりないときは、こうする。

問題そのものを、別の紙に書き写させる。子どもは文字(問題)を一度文字で書くことによっ
て、文字の内容を「音」ではなく、「形」として認識するようになる。少し時間はかかるが、黙読が
苦手な子どもには、もっとも効果的な方法である。

 読解力は、すべての科目に影響を与える。文章の読解力を訓練しただけで、国語はもちろん
のこと、算数や理科、社会の成績があがったということはよくある。決して軽くみてはいけない。
(はやし浩司のサイト:http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/)

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子どもの国語力が決まるとき

●幼児期に、どう指導したらいいの?

 以前……と言っても、もう二〇年近くも前のことだが、私は国語力が基本的に劣っていると思
われる子どもたちに集まってもらい、その子どもたちがほかの子どもたちと、どこがどう違うか
を調べたことがある。結果、次の三つの特徴があるのがわかった。

?使う言葉がだらしない……ある男の子(小二)は、「ぼくジャン、行くジャン、学校ジャン」とい
うような話し方をしていた。「ジャン」を取ると、「ぼく、行く、学校」となる。たまたま『戦国自衛隊』
という映画を見てきた中学生がいたので、「どんな映画だった?」と聞くと、その子どもはこう言
った。「先生、スゴイ、スゴイ! バババ……戦車……バンバン。ヘリコプター、バリバリ」と。何
度か聞きなおしてみたが、映画の内容は、まったくわからなかった。

?使う言葉の数が少ない……ある女の子(小四)は、家の中でも「ウン、ダメ、ウウン」だけで
会話が終わるとか。何を聞いても、「まあまあ」と言う、など。母「学校はどうだったの?」、娘「ま
あまあ」、母「テストはどうだったの?」、娘「まあまあ」と。

?正しい言葉で話せない……そこでいろいろと正しい言い方で話させようとしてみたが、どの
子どもも外国語でも話すかのように、照れてしまった。それはちょうど日本語を習う外国人のよ
うにたどたどしかった。私「山の上に、白い雲がありますと、言ってごらん」、子「山ア……、上に
イ〜、白い……へへへへ」と。

 原因はすぐわかった。たまたま子どもを迎えにきていた母親がいたので、その母親にそのこ
とを告げると、その母親はこう言った。「ダメネエ、うちの子ったら、ダメネエ。ホントにモウ、ダ
メネエ、ダメネエ」と。原因は母親だった!

●国語能力は幼児期に決まる

 子どもの国語能力は、家庭環境で決まる。なかんずく母親の言葉能力によって決まる。毎
日、「帽子、帽子、ハンカチ、ハンカチ! バス、バス、ほらバス!」というような話し方をしてい
て、どうして子どもに国語能力が身につくというのだろうか。こういうケースでは、たとえめんどう
でも、「帽子をかぶりましたか。ハンカチを持っていますか。もうすぐバスが来ます」と言ってあ
げねばならない。……と書くと、決まってこう言う親がいる。「うちの子はだいじょうぶ。毎晩、本
を読んであげているから」と。

 言葉というのは、自分で使ってみて、はじめて身につく。毎日、ドイツ語の放送を聞いている
からといって、ドイツ語が話せるようにはならない。また年中児ともなると、それこそ立て板に水
のように、本をスラスラと読む子どもが現れる。しかしたいていは文字を音にかえているだけ。
内容はまったく理解していない。

なお文字を覚えたての子どもは、黙読では文を理解できない。一度文字を音にかえ、その音を
自分の耳で聞いて、その音で理解する。音読は左脳がつかさどる。一方黙読は文字を「形」と
して認識するため、一度右脳を経由する。音読と黙読とでは、脳の中でも使う部分が違う。そ
んなわけである程度文字を読めるようになったら、黙読の練習をするとよい。具体的には「口
を閉じて読んでごらん」と、口を閉じさせて本を読ませる。

●幼児教育は大学教育より奥が深い

 今回はたいへん実用的なことを書いたが、幼児教育はそれだけ大切だということをわかって
もらいたいために、書いた。相手が幼児だから、幼稚なことを教えるのが幼児教育だと思って
いる人は多い。私が「幼稚園児を教えています」と言ったときのこと。ある男(五四歳)はこう言
った。「そんなの誰にだってできるでしょう」と。

しかし、この国語力も含めて、あらゆる「力」の基本と方向性は、幼児期に決まる。そういう意
味では、幼児教育は大学教育より重要だし、奥が深い。それを少しはわかってほしかった。

●子どもの問題・・・子どもに関する問題 ●親子の問題・・・親子に関する問題
●家庭の問題・・・夫婦家族に関する問題 ●その他・・・その他の問題


情報・画像の出展:はやし浩司先生

※このページの文章・及び画像の著作権は「はやし浩司」様が保有しています。
当サイトでは「はやし浩司」様のご厚意により許可を得て掲載させていただいております。


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