ml version="1.0" encoding="Shift_JIS"?> 緩慢行動:子どもの問題・悩みQ&A・幼児教育ポータルサイト

緩慢行動

 

適切な幼児教育は後の
人間形成において大変重
要であると考えています
が注意していただきたい
ことがあります。
幼児教育は完璧な育児や
教育を推奨するものでは
ないということです。


 ・愛情が第一を忘れない
 ・他の子どもと比較をしない
 ・完璧主義にならない
 ・結果を期待しすぎない
 ・ゆったりとした心を持つ
 子どもへの過剰な期待は
 親子共に大きなストレス
 になる可能性があります。
 ゆったりと構え、少しくら
 い上手くいかなくても
 「まぁ、いっか。」
 位に考えられることが幼
 児教育を続けられるポイ
 ントになります。 

緩慢行動  はやし浩司先生の子どもの問題・悩みQ&A

はやし浩司先生愛知県にお住まいの、NSさんという方より、子どもの緩慢行動についての相談がありました。

それについて考えてみます。

+++++++++++++++++

【NSさんより、はやし浩司へ】

以前、息子の手洗い癖について相談させていただきました者です。その節は本当にお世話になりました。

あれから1年以上たちますが、お陰様で息子は問題なく、楽しく過ごせているようです。

今日は長女の事なのですが、何かアドバイスをいただけましたらと思いメールをさせていただきました。

小学2年生です。家ではまったくこのような状態ではないのですが、学校に行くと人よりテンポが少し遅くなるようで、何をやるのにも少し人とズレます。

行動を起こす時も、他の子より遅く始めたり、人の後から行動したりしています。その割に目立つのは好きなのか、授業中も発言をよくするのは良いのですが、

時々、その話はもう終わったよというような内容の発言をすること事もあります。いつもではないのですが・・・。友達の輪にも入りにくいようで、先生にペアを組むように言われるとあぶれることも多く、オロオロとしていることもあります。

そこそこ仲の良い子もいるようなのですが、その友達にとって、一番に仲が良いわけではないようで、遊びに誘おうと思って行動するときには、もう他の子と遊ばれていることが多いようです。一緒に混ぜてもらったら?と言うと、あの子たちとは仲良くないもんとか、あたしはあまり好かれてないもんなどと言い、尻込みをします。

何か言われた事あるの?と言うとそうじゃないけど・・と曖昧な返事がかえってきます。友達がなかなか出来にくい事を本人も気にしているようで時々私に相談してくる事もあるのですが、基本的に連れて女の子達が行くトイレを嫌がったり、誘われても今行きたくないから・・・と断ったりしているようです。たまには付き合いだと思って行ってみたらと言うとそういう妥協はしたくないらしく曖昧な返事がかえってきます。

ただでさえテンポが遅く、人の中で浮きやすいのに、へんなところで真面目なので、何か悪い事をしている人を見つけたり、本人が納得できない事があるとお構いなく、キツイ言い方をする事がしばしばあるので、よけいに引かれてしまうようです。家ではお手伝いをしてくれたり、通信教育の勉強をバリバリこなしたり、外で遊ぶ時も元気で、とてもやる気がないとか無気力なようには見受けられないのですが、学校では場合によってはやる気が見受けられないらしく、担任の先生から注意を受けた事もあり、通信簿の生活面の評価はとてもひくいです。

最後までやりきるとか、皆で協力してやり遂げるなど全然できていないようです。勉強面での評価はそこそこ良いのですが、生活面の評価はひどいです。昨年の評価は、お友だちの輪にはなかなか入り難いようですが、頑張りやで、一つのことを責任を持ってやりとげますと先生に言われたのが、嘘のようです。

上手く説明をすることが出来なくすみません。息子の時と違って、はっきりここが変だというような表現ができないものですから、ダラダラと長くなりすみません。何かアドバイスがありましたらお願いいたします。

【はやし浩司より、NSさんへ】

全体に、マイナス思考である点が、気になります。

お子さんの悪い面ばかりを見ている。

気にしている。

悪い面ばかりに気がつき、それだけを問題にしている……?

私があなたのお嬢さん(小2)なら、あなたのそばにいるだけで、窮屈に感ずるかもしれません。

まずお嬢さんを信ずる。

つぎに学校の先生を信ずる。

もうひとつ、あなた自身を信ずる。

子ども不信型の子育て、つまり過干渉、過関心が日常化しているように感じます。

小学2年生というと、そろそろ親離れを始める時期です。

反抗もはげしくなってきます。

だいたい小学3年生前後で、親離れし、思春期前夜に入ると考えてください。

が、あなたのほうには、それがわかっていない。

あなたはまだ自分の子どもが、幼児のままと思っている。

仮にあなたがここに書いたとおりであるとしても、小学2年生では、もう手遅れです。

はっきり言って、直・り・ま・せ・ん。

つまり直そうと思わないこと。

あなたが直そうと思えば思うほど、逆効果。

お嬢さんは、自信をなくして、今の時期につづくつぎの思春期では、自我の同一性の確立さえおぼつかなくなります。

それこそこの先、「私は何だ?」と悩みつづけるでしょう。

あるいはスーッと非行の道に入ってしまうかもしれません。

今、そこにいるお嬢さんを認め、そのお嬢さんを信ずることです。

それともあなたは、いったい、自分の子どもが、どんな子どもになるのを、望んでいるのですか?

もっと言えば、あなたはどうでしょうか?

あなたは自分の子どもの前で、胸を張って、「私はすばらしい人間」と言えるでしょうか。

社交性もあり、皆に親しまれ、リーダー格で、勉強もよくできる、と。

あなた自身、恵まれない家庭で、両親の愛情と理解を受けないで、さみしい思いをしたのではありませんか。

それが現在の、あなたの子育ての基本になってしまっています。

お嬢さんの友だちの問題にまで、介入してはいけません。

家では、いろいろと仕事をしてくれるということですから、すばらしい子どもですよ。

学校では、緩慢行動が目立つということですが、そういうときは、逆にほめてみるのです。

あなたは1年生のときより、すばらしくなったわ、とです。

どのみち、あなたが説教したところで、直りません。

方法もありません。

(学校の先生に相談するのは構いませんが、学校の先生にしても、直す方法はありません。

あるとすれば、何かの機会をとらえて、みなの前でほめることです。

「今日のNさんは、すばらしかった!」とです。

が、それができるのは、学校の先生だけです。)

「ここがヘン」という言葉は、使ってはいけません。

今では、子どもは家族の「代表」という考え方をします。

子どもに何か問題があったら、それは、家族の問題と考えます。

はっきり言えば、あなた自身の問題ということです。

もっとはっきり言えば、あなたにだけ、そう見えるということです。

「子どもがヘン」と感じたら、「私の子育てがヘン」と思うことです。

これから思春期に入り、子どもは大きく変化していきます。

子ども自身の力で、変わっていきます。

そんな子どもを、頭から、ハンマーで叩くようなことはしてはいけません。

心配先行型、不安先行型の育児観を、改めてください。

そして「私の子どもはすばらしい子ども」と自分で自分に言って聞かせるのです。

あなた自身の心を作り変えるのです。

そのあと、問題は、自然に解決していきます。

ある男が医者の所に来て、こう言いました。

「ドクター、私は、指で足を押さえると、足が痛い。

腹を押さえると、腹が痛い。

頭を押さえると、頭が痛い。

私は、いったい、どこが悪いのでしょうか」と。

それに答えて、その医師は、こう言いました。

「あなたはどこも悪くありません。

あなたの手の指の骨が折れているだけです」と。

子どもというのは、親や教師が見方を変えるだけで、変わってしまいます。

「好意の返報性」という言葉もあります。

日本では、「魚心あれば、水心」と言いますね。

あなたが「心配だ」「心配だ」と思っていると、そのとおりの子どもになってしまいます。

だからこそ、まずあなたの心を作り変えるのです。

それともあなたは、あなたが経験したような、さみしい少女時代を、あなたのお嬢さんに繰り返してほしいですか?

小学2年生ですよ!

私は幼児を指導していますが、小学2年生というと、完成された幼児です。

あと1、2年で、親離れしていきます。

親としてできることは、ほとんどないということです。

あきらめて、あるがままを受け入れなさい!

「あきらめは、悟りの境地」ですよ。

おおらかで、満ち足りた世界です。

あなたも一度、そういう世界に、入ってみるとよいですよ。

あなたのお嬢さんも、それで見違えるほど明るくなるはずです。

とは言っても、緩慢行動(神経症)について問題にしておられますので、このあと、いくつかの原稿を添付しておきます。

メール、ありがとうございました。

●自己効力感(Self Achievement)

 「自分でできた」「自分でやった」という達成感が、子どもを伸ばす。これを自己効力感という。

 子どもを伸ばすコツは、この自己効力感をうまく利用すること。

 反対に、この自己効力感を、阻害(じゃま)するようなことがあると、子どもは(1)それに大きく反発するようになり、(2)ついで、心が極度の緊張状態におかれるようになることが知られている。

 それを阻害するものに対して、反抗するようになる。

 が、それだけではない。子どもは、ますます、そのものに固執するようになる。こんなことがある。

 A君(小4)は、サッカークラブで、やっとレギュラー選手になることができた。A君はA君なりに、努力をした。

 が、小5になるとき、母親は、A君を、進学塾へ入れた。そしてそれまで週3回だったサッカーの練習を、週2回に減らすように言った。当然、そうなると、A君は、レギュラー選手からはずされる。

 A君は、猛烈にそれに反発した。が、やがてその反発は、母親への反抗となって現れた。

すさんだ目つき、母親への突発的な暴力行為など。

 もうそうなると、進学塾どころではなくなってしまう。あわてた母親は、進学塾をやめ、再び、サッカークラブにA君をもどした。が、今度は、A君は、そのサッカーにすら、興味を示さなくなってしまった。母親はこう言う。

 「あれほど、毎晩、サッカーをさせろと暴れていたのに、サッカークラブへ再び入ったとたん、サッカーへの興味をなくすなんて……」と。

 子どもの心理というのは、そういうもの。A君の母親は、それを知らなかっただけである。A君が母親に反抗したのは、サッカーをしたいからではなかった。自分の自己効力感(達成感)を、阻害されたからである。そのことに対して、A君は、反抗したのである。

 少し話がちがうかもしれないが、こんな例もある。

 若い男女が、恋愛をした。しかし周囲のものが、猛反対。そこでその男女は、お決まりの駆けおち。そして子どもをもうけた。

 やがて周囲のものが、あきらめ、それを受け入れた。とたん、たがいの恋愛感情が消えてしまった。

 この例でも、若い男女が駆けおちしたのは、それだけたがいの恋愛感情が強かったからではない。周囲のものに反対されることによって、より結婚に固執したからである。だから、結婚を認められたとたん、恋愛感情が消えてしまった。

【教訓】

 子どもの得意芸、生きがいは、聖域と考えて、決して、土足で踏み荒らすようなことはしてはいけない。へたに阻害したりすると、かえって子どもは、それに固執するようになる。最悪のばあいには、親子関係も、それで破壊される。

●高度な欲求不満

 欲求不満といっても、決して一様ではない。心理学の世界には、欲求不満段階説(マズローほか)さえある。このことは、子どもの発達過程を観察していると、わかる。

【原始的欲求不満】

 愛情飢餓、愛情不足など。飢餓感や不足感が、欲求不満につながる。この欲求不満感が、子どもの心をゆがめる。よく知られているのは、赤ちゃんがえり。下の子どもが生まれたことなどにより、飢餓感をもち、それが上の子どもの心をゆがめる。

 生命におよぶ危機感、安心感の欠如から生まれる欲求不満も、これに含まれる。

【人間的欲求不満】

 人に認められたい、人より優位に立ちたい、目立ちたいという欲求が、満たされないとき、それがそのまま欲求不満へとつながる。「自尊の欲求」(マズロー)ともいう。この人間的欲求は、自分がよりすぐれた人間であろうとする欲求であると同時に、それ自体が、社会全体を、前向きに引っ張っていく原動力になることがある。

 が、子どもの世界では、こうした人間的欲求は、変質しやすい。

 ある子ども(中2男子)は、私にある日、こう言った。「ぼくは、スーパーマンになれるなら、30歳で死んでもいい。世の中の悪人をすべて退治してから死ぬ」と。

 こうした人間的欲求は、幼児にも見られる。みなの前でその子どもをほめたりすると、その子どもは、さも誇らしそうな顔をして、母親のほうを見たりする。

 子どもの中に、そうした人間的欲求を感じたら、静かにそれをはぐくむようにする。これは子育ての大鉄則の一つと考えてよい。

●幼児の緩慢行動(Dull Movement of Children)

 心理的抑圧状態(欲求不満を含む)が、日常的につづくと、子どもはさまざまな、心身症による症状を示すことがある。が、その症状は、子どもによって、千差万別。定型がない。

 「どうもうちの子、おかしい?」と感じたら、その心身症を疑ってみる。

 その中のいくつかが、緩慢行動(動作)であったり、吃音(どもり)であったりする。

神奈川県に住む、Uさん(母親)から、多分、緩慢行動ではないか(?)と思われる相談をもらった。

 ここでは、それについて、考えてみたい。

+++++++++++++++++++++

【Uさんより、はやし浩司へ】

私には、4歳(年少)の娘、M子(姉)と、1歳8ヶ月の息子S夫(弟)がいます。

先日、娘の幼稚園の個人懇談がありました。

そこで、先生に言われたのが

「M子(姉)ちゃんはいつもマイペースで、マイペースすぎてもうちょっとスピードアップして欲しいんですけどね」でした。

「急がないと行けない時にもマイペースでね、今(年少)はあまりする事も少なくて、他の子と差は出てこないと思いますけど、これから先、年中、年長となるにつれてその差は広がっていきますからね」

「急がないといけない時に、急げるようなボタンがあればいいんですけどねー(笑)。そこを押せば、急いでくれるっていう風に・・・・(笑)」と冗談まじりではあったのですが、最後に夏休み中にお母さんから、M子ちゃんに急ぐって事を教えてあげておいてください

と言われました。

「急ぐという事を教えるといわれても・・・・先生どうしたらいいんでしょう?」って聞いたのですが、イマイチよく分かる回答がなかったような気がします。

怒って「急いで!急いで!急いで!」とまくし立てるのも良くないと思いますし、言った所で出来るわけでもないですし。

普段、出来るだけ怒らないように大声をあげないように、出来たら大げさに誉めてあげて、

を心がけているのですが今の私のやり方では、夏休みあけても同じだろうし・・・・どうしたらいいのだろう?、と考えこんでしまいます。

何がどうマイペースか具体的に言うと、給食の時間になって先生が、「後に給食の袋を取りにいって準備して下さい」って言っても、上の方を見てボーッと椅子に座っていることが時々あって、「M子ちゃん、準備よー急いでー!」って言っても、とりわけ急ぐ様子もなくゆっくりらしいです。

又、今メロディオンの練習をしているようなのですが、M子(姉)は指でドレミファソを弾く事は出来るみたいなのですが、ホースを口にあてて息を吹く事が分からなかったみたいで、一人だけ音が出なかったみたいです。

先生が側で、「M子ちゃん吹くんですよー」って言っても分からなくて、挙句の果てには、ホースに口をあててホースに向かって、ドレミファソを言いながら、けん盤を弾いていたようです。

先生も??、だったみたいで、「違うよM子ちゃん! 吹くのよ!!」って言うと今度は、何でそんなに先生は私に怒ってるの?、っていう反応だったようです。

あと、空想にふけっていたりするみたいです。

他にも日々の行動で色々あるようです。

M子(姉)は私に似ているのか、よく言えばおっとりで悪く言えば、どこかのろい所があって入園の際、私もそれが少し気にはなっていました。

のびのび保育の幼稚園を選べば、そんな事を考えなくて良かったのかもしれませんが、私的には、小学校でお勉強を始めるより、幼稚園で少しでも触れていれば気遅れなく、M子(姉)もやっていけるのではと考えたのですが、やはりその分要求される事も多いんですね・・・。

今は、本人は幼稚園が大好きでお歌の時間もプリントの時間も体操の時間も楽しいとは話しています。

楽しく通ってくれれば、私はそれで大満足なのですが年中、年長になった時、まわりの早さについて行けなくなって幼稚園が楽しくなくなったら、やはり園を変えた方がいいんでしょうか?

また、もっとスピードアップさせるにはどうしたらいいのでしょうか?

また、M子(姉)には、時々どもりがあります。ほとんど指摘しないように聞きながしているのですが、ちょっと気になっています。

はっきりとした原因は分かりませんが、下の子を出産する際引き裂かれるように、私と離れ離れになってしまって、10日間ほど離れて暮らしていたのが悪かったのかな?、と反省しています。

長々と下手な文章で好きな事を綴ってしまいましたが、アドバイス頂けますようお願い申し上げます。

これからもまぐまぐプレミアをずっと購読していこと思っています。毎日暑いですが、どうぞお体にお気をつけ下さい。

【はやし浩司より、Uさんへ】

 まぐまぐプレミアのご購読、ありがとうございます。感謝しています。

 ご相談の件ですが、最初に疑ってみるべきは、緩慢行動(動作)です。原因の多くは、親の過干渉、過関心です。子どもの側から見て、過負担。それが重なって、子どもは、気うつ症的な症状を見せるようになり、緩慢行動を引き起こします。

 ほかに日常的な欲求不満が、脳の活動に変調をきたすことがあります。私は、下の子どもが生まれたことによる、赤ちゃんがえり(欲求不満)の変形したものではないかと思っています。

 逆算すると、M子さんが、2歳4か月のときに、下のS夫君が生まれたことになります。

年齢的には、赤ちゃんがえりが起きても、まったく、おかしくない時期です。とくに「下の子を出産する際引き裂かれるように、私と離れ離れになってしまって、10日間ほど離れて暮らしていたのが悪かったのかな?」と書いているところが気になります。

 たった数日で、別人のようにおかしくなってしまう子どもすらいます。たった一度、母親に強く叱られたことが原因で、自閉傾向(一人二役のひとり言)を示すようになってしまった子ども(2歳・女児)もいます。決して、安易に考えてはいけません。

 で、その緩慢行動ですが、4歳児でも、ときどき見られます。症状の軽重もありますが、10〜20人に1人くらいには、その傾向がみられます。どこか動作がノロノロし、緊急な場面で、とっさの行動ができないのが、特徴です。

 こうした症状が見られたら、(1)まず家庭環境を猛省する、です。

 幸いなことに、Uさんの子育てには、問題はないように思います。そこで一般の赤ちゃんがえりの症状に準じて、濃密な愛情表現を、もう一度、M子さんにしてみてください。

 手つなぎ、抱っこ、添い寝、いっしょの入浴など。少し下のS夫君には、がまんしてもらいます。

 つぎに(2)こうした症状で重要なことは、「今の症状を、今以上に悪化させないことだけを考えながら、半年単位で様子をみる」です。

 あせってなおそう(?)とすればするほど、逆効果で、かえって深みにはまってしまいます。子どもの心というのは、そういうものです。

 とくに気をつけなければいけないのは、子どもに対する否定的育児姿勢が、子どもの自信をうばってしまうことです。何がなんだかわけがわからないまま、いつも、「遅い」「早く」と叱れていると、子どもは、自分の行動に自信がもてなくなってしまいます。

 自信喪失から、自己否定。さらには役割混乱を起こす子どももいます。そうなると、子どもの心はいつも緊張状態におかれ、情緒も、きわめて不安定になります。そのまま無気力になっていく子どももいます。

 「私はダメ人間だ」という、レッテルを、自ら張るようになってしまいます。もしそうなれば、それこそ、教育の大失敗というものです。

 そこで(3)子どもの自己意識が育つのを静かに見守りながら、前向きの暗示をかけていきます。

 「遅い」ではなく、「あら、あなた、この前より早くなったわね」「じょうずにできるようになったわね」と。最初は、ウソでよいですから、それだけを繰りかえします。

 「先生もほめていたよ」「お母さん、うれしいわよ」と言うのも、よいでしょう。

 ここでいう「自己意識」というのは、自分で自分を客観的にみつめ、自分の置かれた立場を、第三者の目で判断する意識というふうに考えてください。

 しかし4歳児では、無理です。こうした意識が育ってくるのは、小学2、3年生以後。

ですから、それまでに、今以上に、症状をこじらせないことだけを考えてください。

 とても残念なことですが、幼稚園の先生は、せっかちですね。その子どものリズムに合わせて、子どもをみるという、保育者に一番大切な教育姿勢をもっていないような気がします。

 おまけに、「年長になったら……」と、親をおどしている? ある一定の理想的(?)な子ども像を頭の中に描き、それにあわせて子どもをつくるという、教育観をもっているようです。旧来型の保育者が、そういうものの考え方を、よくします。(今は、もうそういう時代ではないのですが……。)

 M子さんに、ほかに心身症による症状(「はやし浩司 神経症」で、グーグルで検索してみてください。ヒットするはずです。

あるいは、http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/page080.html)が出てくれば、この時期は、がまんしてその幼稚園にいる必要は、まったくありません。

 子どもの心に与える重大性を考えるなら、転園も、解決策の一つとして、考えてください。

 そして(4)「うちの子を守るのは、私しかいない」と、あなたが子どもの盾(たて)になります。先生から苦情があれば、「すみません」と一応は謙虚に出ながらも、子どもに向かっては、「あなたはよくがんばっているのよ」「すばらしい子なのよ」と言います。そういう形で子どもの心を守ります。

 まちがっても、そこらの保育者(失礼!)がもっている理想像(?)に合わせた子どもづくりを、してはいけません。

 子育てもいつか終わりになるときがやってきます。そういうとき、あなたの子育ての思い出を、光り輝かせるものは、「私は、子どもを守りきった」「私は、子どもを信じきった」という、親としての達成感です。

 今が、そのときです。その第一歩です。

 最後に(5)M子さんに合わせた、行動形態にすることです。「のろい」と感ずるなら、あなたも、もう一歩、自分の歩く早さを、のろくすればよいのです。どこかに子育てリズム論を書いておきましたので、また参考にしてください。

 とても幸いなことに、Uさんは、たいへん愛情豊かな方だと思います。それに自分の子育てを客観的にみつめておられる。とてもすばらしいことです。(プラス、私のマガジンを読んでいる!)

 子どもといっしょに、子どもの友として、子どもの横を歩いてみてください。楽しいですよ。セカセカと歩いていたときには気づかなかったものが、たくさん見えてきますよ。

 そうそう、最後に一言。

 こうした緩慢行動(動作)は、子どもの自己意識が育ってくると、自然に消えていくものです。子どもが自分で判断して、自分で行動をコントロールするようになるからです。

どうか、安心してください。

 私の経験でも、乳幼児期の緩慢行動(動作)が、そのまま、小学5、6年生まで残ったというケースを知りません。小学3、4年生ごろには消えます。(ただしこじらせると、回復が遅れますが、そのときは、もっと別の、ある意味で深刻な、心身症、神経症による症状が出てきます。

 また親は「のろい」「のろい」と心配しますが、第三者から見ると、そうでないというケースも、たいへん多いです。これは親子のリズムがあっていないだけと考えます。)

 吃音(どもり)については、ここ1〜3年は、症状が残るかもしれません。環境が大きく変わっても、クセとして定着することもあるからです。吃音については、あきらめて、濃密な愛情をそそいであげてください。これも時期がくれば、症状は消えます。

 どんな子どもでも、一つや二つ、三つや四つ、そうした問題をかかえています。全体としてみれば、マイナーな、何でもない問題です。

 あまり深刻にならず、ここは、おおらかに! なお先取り教育は、失敗しますので、注意してください。それについては、またマガジンのほうで取りあげてみます。


●子どもの問題・・・子どもに関する問題 ●親子の問題・・・親子に関する問題
●家庭の問題・・・夫婦家族に関する問題 ●その他・・・その他の問題


情報・画像の出展:はやし浩司先生

※このページの文章・及び画像の著作権は「はやし浩司」様が保有しています。
当サイトでは「はやし浩司」様のご厚意により許可を得て掲載させていただいております。


このページのトップへ

Yahoo!ブックマークに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote