下の子の問題

 

適切な幼児教育は後の
人間形成において大変重
要であると考えています
が注意していただきたい
ことがあります。
幼児教育は完璧な育児や
教育を推奨するものでは
ないということです。


 ・愛情が第一を忘れない
 ・他の子どもと比較をしない
 ・完璧主義にならない
 ・結果を期待しすぎない
 ・ゆったりとした心を持つ
 子どもへの過剰な期待は
 親子共に大きなストレス
 になる可能性があります。
 ゆったりと構え、少しくら
 い上手くいかなくても
 「まぁ、いっか。」
 位に考えられることが幼
 児教育を続けられるポイ
 ントになります。 

下の子の問題  はやし浩司先生の子どもの問題・悩みQ&A

はやし浩司先生友だちをキズつける二女。


それを心配して、あるお母さんから、
こんなメールが、届いています。

(北海道・M子より)

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【 お子さんの年齢(現在の満年齢) 】:11歳と9歳
【 お子さんの性別(男・女) 】:ふたりとも女の子
【 家族構成・具体的に…… 】:
父(45歳)母(41歳)長女(小学5年)次女(小学3年)

【相談内容】

上の子は、小さい時から好奇心旺盛で、男の子と対等に遊んでいました。いつも努力して何の
運動でもできるまでがんばります。

今現在も、人に負けるものがほとんどなく、勉強も家では宿題以外したのを見たことがありま
せんが、とてもできます。

言葉使いは男の子と対等に話し、お笑い大好きでものまねも上手です。女の子の友達もいま
すが、みんな、一歩、ひいてる感じだそうです。「言い方がきついため女の子が近寄りがたいだ
けで、一切意地悪なことはしていませんよ」との担任の言葉でした。

家では、そういう姉に勝つものがない次女は反発しても勝てないのもあって、私に助けを求め
にきます。家では妹とよく遊ぶし意地悪なことはしませんが、言い方がきついというのが私も気
になるところです。

その次女は、長女と違って、周りの友達ができることでもあせることなく、やる気がでたら挑戦
してみようかなっというタイプです。私たち両親も「あんたはできんでもいい、いい」と思ってしま
っているところがあります。勉強も漢字など覚える分野は得意ですが、算数がとても苦手です。

先日次女の担任から、最近クラスである友達と組んで、友達を無視したり、仲間はずれをした
り、ひどい口調で友達を傷つけたりしているようだと言われ、ショックでした。

そのことがあって、家では姉と言い合いさせるようにしています。ピアノが大好きで二人とも習
っていますが、それも姉には今はかないません。姉は自分の意思で小2のときから紅一点で柔
道をしていますが、次女はしたくないようです。

何か、姉に勝てるものをみつけようと、今考え中です。算数ができないのも気になりますが、友
達を傷つけることが一番気になることで、どの方向から考えていくべきか悩んでいます。先生
はどうお考えですか?

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【はやし浩司より、Mさんへ】

 めちゃめちゃ、できのよい兄、あるいは姉。しかしその反動からか(?)、目だたない弟か妹。

 よくあるケースです。

 ほかにたとえば、社会的に大活躍している親と、その陰で小さくなっている息子や娘の例など
もあります。こういうケースでは、なぜ下の子や、子どもがそうなるかについて、2つの理由が
考えられます。

 1つは、上の子どもの優位性を見せつけられるうちに、下の子が、劣等感を植えつけられ、
それがもとで、自信喪失に陥(おちい)ってしまうこと。もう1つは、上下意識の強い家庭環境の
中で、下の子が、卑屈になってしまうこと。まわりの人たちが、上の子や、父親に対して、「お兄
ちゃんはすごい。あなたもお兄ちゃんのようになりなさい」「お父さんはすばらしい。お父さんに
は、かなわないわね」と言えば言うほど、下の子や子どもは、「あなたはダメな子」と言われたよ
うに感じてしまうわけです。

こうした環境が慢性的につづくと、下の子は、ひどいばあいには、自己否定から、自暴自棄に
陥ってしまうこともあります。長い時間をかけて、そうなります。

 で、実は、こうした弊害は、学校教育の場でも、よく問題になります。よく優秀な子どもを、ほ
めたり、たたえたりします。それはそれとして、教育の1つの目的でもあるわけですが、しかしそ
の一方で、こうした行為は、そうでない子どもたちを、「ぼくは、何をしてもダメなのだ」と、スミに
追いやってしまうという危険性もあります。

 昔は、(勉強)だけで、その子どもを判断しましたから、こうした弊害が、強く現われました。お
かしなことですが、(勉強ができる子ども)イコール、(人格的にもすぐれた子ども)と考える風潮
すら、ありました。

そこで、学校教育という場では、子どもたちの世界をできるだけ多様化することによって、この
問題を解決しようとしています。「勉強だけが、すべてではないのだ」と、です。

つまりそれぞれの子どもには、それぞれの特徴があり、得意な面もあれば、苦手な面もあると
いう前提で、子どもをとらえるようにします。運動やスポーツ、美術や音楽などなど。そしてそれ
ぞれの分野で、子どもをほめたり、たたえたりします。

 が、それでも、そのワクからはずれてしまう子どももいます。とくに、一度、強い劣等感を覚
え、自信を喪失してしまった子どもは、何かにつけて、逃げ腰になってしまいます。自らに、「ダ
メ人間」のレッテルを張ってしまうからです。

 このタイプの子どもは、いくつかのパターンに分けて考えることができます。

(1)静かに、ことなかれ主義に徹する、沈黙型
(2)ひょうきんで、笑わせじょうずになる、道化型
(3)攻撃的に出て、乱暴者になる、攻撃型
(4)弱々しい自分を演ずることにより、人の注意をひきつける、同情型
(5)ベタベタとだれかに甘えようとする、依存型
(6)徹底してだれかに服従することによって、自分の立場を守る、服従型

 要するに、(顔のない自分)に徹するか、何らかの形で、(顔のある自分)を演ずるかのちが
いということになります。しかしそれ以上に注意しなければならないことは、このタイプの子ども
は、そうした自分を演じながら、そのウラで、心をゆがめやすいということです。

 卑屈になるのもその1つですが、ほかに、いじけやすくなる、ひがみやすくなる、ねたみやすく
なる、つっぱりやすくなるなどの症状が出てくることもあります。こんな例があります。

 A君という中学2年生の子どもがいました。今から思うと、LD児(学習障害児)ではなかった
かと思います。私は、当時、月謝をもらわないで、週3回、教えていました。

 そのA君を、さらに、ときどき、小学生のクラスへ入れて、教えていたこともあります。そんな
ある日のことです。

 何と、そのA君が、数歳年下の、小学生をいじめているのです。「お前、こんなのできねえの
か」「バカだなあ」「お前のようなバカは、生きている価値はねえよ」と。

 これには、驚きました。A君は、日ごろ友だちから言われていることを、そのまま、自分より弱
い立場の子どもに言っていたのです。そこで私がA君に、「そんなことを言ってはダメだ。この
子たちは、まだ、その勉強をしていないのだから」と。

 ここで私は「驚きました」と書きましたが、本当は、ショックを受けました。学校でいつもつらい
思いをしているだろうと思って、私は私なりに、少しでもそのつらさを軽くしてあげようと努力して
いました。が、その私の心にA君が答えるのではなく、むしろ私の心を、ひっくり返すようなこと
を、目の前でしたからです。と、同時に、私は、A君に何を教えてきたのだろうと、自分で自分に
疑問をもつようになりました。

 もっと具体的には、A君を教える気力が、半減してしまいました。一時は、ゼロになりました。

 しかしA君を責めてもいけません。A君は、学校で、いつも、友だちからそう言われているにち
がいないからです。それが反対の立場になったとき、A君の口から出てきたということです。

 以上は、学校や塾という世界で、よく経験する話です。そこでMさんの二女のケースについて
考えてみたいと思います。

 一般論から先に言うと、いじめられる子どもが、それだけ、精神的にきたえられ、すばらしい
子どもになるかというと、そうではないということです。そのため、心をゆがめる子どもも、約半
分は、います。そして今度は反対に、だれかをいじめる立場に回ることも、珍しくありません。い
じめられる前に、いじめるという行為に走ることもあります。

 おとなの世界でも、苦労を重ねた人が、それだけ精神的に高邁(こうまい)な人になるとはか
ぎりません。中には、かえって邪悪になり、小ズルい人になっていく人もいます。どうしてそうい
うふうに分かれていくかについては、また別の機会に説明するとして、同じようなことが、子ども
の世界でも、起こるということです。

 めちゃめちゃ、できのよい兄か姉をもったため、いつの間にか、スミへ追いやられた下の子
どもというのは、ここでいう(顔のない子ども)になりやすいということです。しかし本人は、決し
て、それをよしとはしません。

 そこでこのタイプの子どもは、そのはけ口を、別の世界で求めようとします。もう15年ほど前
になりますが、私は自分の本の中で、『子どもの心は風船玉』という格言を考えました。

 子どもの心というのは、風船玉のようなものです。どこかで圧力を加えると、その圧力は別の
ところで、別の形となって現れます。つまりそういう形で、子どもは、自分の心のバランスをとろ
うとするわけです。意識的な行為というよりは、これは無意識的な行為と考えたほうがよいで
す。子ども自身が、自分の中の別の自分に操られて、そうします。

 Mさんの二女のケースも、この図式に当てはめて考えると、かなり正確に理解できるのでは
ないでしょうか。

 では、どうするか?

 本来なら、姉とは別のことをさせるのがよいのですが、同じピアノ教室へ通わせたりしている
ところが、気になります。勉強面でも、どこか比較ばかりしているようなところも、気になります。
これでは、ますます二女のほうが、卑屈になるだけです。どうせ勝てないのですから……。つま
り同じように育てようと考えるのではなく、別々のことをさせるようにして、育てます。……といっ
ても、今から軌道修正するのも、たいへんですね。

 私なら……という言い方は少し変ですが、私なら、もう上の子には構わないで、下の二女の
ほうに、すべての神経をそそぐようにします。何か、得意な面、姉とはちがった面があるはずで
す。そちらのほうに、注意をそそぎます。そしてそれを励まし、伸ばすようにします。

 コツは、いくつかあります。

(1)不得意面には、目を閉じて、得意面だけを伸ばす。
(2)一芸をみつけたら、時間と、お金を惜しみなく、そそぐ。
(3)Mさんのケースでは、姉と二女を、できるだけ、切り離す、です。

 外の世界で、友だちをキズつけるようなことを言うという面については、家庭の中で居場所が
見つかれば、自然と消えていくと思われます。年齢的に考えても、まだ間にあいます。

 (3)番目の姉と切り離すということについては、もう1つの意味があります。

 姉自身が、ひょっとしたら、妹(二女)を押しつぶすための、何らかの働きかけをしている可能
性があるからです。もちろん無意識的に、そうしています。こういうケースでは、妹のほうの嫉
妬心が、そうした働きかけの原動力になっていることも考えられます。(親からみれば、50%、
50%ということになりますが、姉には、それが不満なのです。)

 ですから親の目の届かないところで、姉のほうが、二女を自信喪失にもっていっているので
はないかということも、疑ってみてください。『年の近い姉妹は、憎しみ相手』と、昔からよく言わ
れます。嫉妬がからむと、上の子は、いわゆる(きつい子)になります。そしてその反動として、
下の子は、Mさんの二女のようになります。そういうケースは、たいへん多いです。

 しかし全体としてみると、よくあるケースであり、またそれほど深刻な問題とはならないまま、
ことは推移していきます。ですから、ここではいろいろと書きましたが、あまり大げさには考えな
いこと。学校の先生から注意があったら、そのつど、その時点で、お子さんと話しあって、すま
せます。

 ここで大げさに二女を追いつめてしまえば、それこそ、二女は、行き場をなくしてしまいます。
こうした問題には、まだ、二番底、三番底がありますから、どうか注意してください。

 なお上の姉が、(きつい子)になったのは、下の子が生まれたことが原因による、赤ちゃんが
えりのバリエーションの1つです。赤ちゃんがえりが、攻撃型になり、それが定着したタイプと考
えるとわかりやすいでしょう。今回は、上の姉については、返事はいらないということなので、こ
の問題は、また別の機会に考えてみることにします。(そういう点では、上の子も、かなりさみし
い思いをしてきたのかもしれませんね。)

 以上、Mさんの子育てで、何かの参考になれば、うれしいです。あくまでも参考意見の1つとし
て、ご利用ください。今日は、これで失礼します。
(はやし浩司 下の子の問題 自信喪失 上の子の問題 子どもの心理)

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【Mさんからの、追伸】

お返事読ませていただきました。
思いあたるところがたくさんあり、ショックもうけました。

夏休み前に、簡単な算数の時計の問題が理解できない次女に対し、だんだん腹がたってき
て、「あんたみたいな小学生はいない。幼稚園生にも負けてる」とか、お金の問題がわからない
ときには、「あんたは、大人になってお金にだまされてことになる」などと、ひどい言葉をあびせ
かけていました。

言ったあと、しまったと思うのですが・・・
その様子を見ていた長女が、「お母さんひどいこというねえ。自分が教えるからあっちに行って
て!」と言われ、長女にまかせたことがありました。長女は怒ることなく、教えてくれていました
が、次女にとってはそれもイヤだったかもしれません。

下の子はいつまでも赤ちゃんに思えて、私の無意識な行動が次女を傷つけていたと思いま
す。

はやし先生の言葉の中で、「ダメ人間のレッテルをはっている」ということ、その通りかもしれま
せん。

ピアノを一緒に習っているといいましたが、姉の方は正確に覚えてひけるので、先生もみんな
の見本のようなことを言うのをいつも下の子は見ています。(学年が違うから、クラスは違いま
す)

下の子は音感で音を覚えるようなので、楽譜を無視して、よく注意されています。ただ、親から
みると下の子の引き方のほうが、楽しそうでのびのびしているように感じます。
本当にピアノをひくことが大好きのようなので、これはずっと続けさせようと思います。

今、空手がやってみたいというので、道場をさがしています。
姉と同じ柔道ではなく、でも、近いものを選んでいるのが、不思議です。

先生のおっしゃるように、次女のほうに気持ちを傾けようと思います。

それから、算数と仲良くなるためにはどういうところから入ったらいいですか? 本人も算数と
仲良くなれば、自信がわくと思いますから。

ありがとうございました。

●子どもの問題・・・子どもに関する問題 ●親子の問題・・・親子に関する問題
●家庭の問題・・・夫婦家族に関する問題 ●その他・・・その他の問題


情報・画像の出展:はやし浩司先生

※このページの文章・及び画像の著作権は「はやし浩司」様が保有しています。
当サイトでは「はやし浩司」様のご厚意により許可を得て掲載させていただいております。


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