かけっこ

 

かけっこが速くなるには?

かけっこってたのしいよ。


子どもの運動ができる・できないの判断基準の一つにかけっこ(徒競走)を思い浮かべる方も多いと思います。
運動会などでも、足が速い子どもはいかにも運動ができそうに見えます。


足が速いからといって、「運動ができる」とは言えませんが、「速く走れる」ということは筋力があり、体の使い方が上手くできているということでもあります。

足が速いという言葉も、短距離・中距離・長距離で異なりますので、一概には判断できませんが、このページでは主に短距離での走り方について考えていきたいと思います。


ただ、このページでは短距離の選手などを目指すような内容ではなく、園や学校で足の速い子どもの仲間に入れることを目標にしています。


まずは少し細かいですが、足の速い子どもと遅い子どもの特徴を見てみましょう。

速く走れる子どもの特徴として

・スタートダッシュが速い。
・姿勢がいい。
 ・腰が折れていない。
 ・腰が低くない。
 ・接地時の足と体が真っ直ぐになっている
(スタート時は前傾姿勢、スピードに乗った時は体がほぼ真っ直ぐ(若干前傾)になっている)
・体に上下前後左右に体のブレが少ない
・腕が良く振れている(腕を曲げ、前後に大きく振れている)
・上半身と下半身の逆捻りが上手くできている。
・足の回転が速い
(体が大きい・足の長い・バネがあるといったストライド型・1歩1歩の距離が非常に長いため、回転が遅くても走るのが速いタイプの子どもも大勢います。)
・膝を前に向かって大きく出している(膝の位置が高い)
・接地時に足全体のつま先より(母指球辺り※つま先ではない)で接地している。
(接地時の音は小さめで、シュタッシュタッというような感じの音がします。)
・接地時に足が綺麗に伸びている
※厳密に言えば伸びきってはいけない(少し曲がった状態でブロックする)ということですが、足が接地時に綺麗に伸びていることで、地面からの反発力を強く得ることができます。)
・接地後の足がお尻の近くまできている(接地後の足の戻りが速い)
・走る姿がきれいで、力強さ(躍動感)がある。

足の速い子どもが上記全てができるということではありませんが、特徴として上記内容のいづれかが複数当てはまるケースが多いと思います。

反対にかけっこが遅い子どもの特徴として

・スタートダッシュが遅い。
(構えている手足が左右同じであったり、腰が高く棒立ち状態で素早く動ける姿勢になっていない。)
・姿勢が悪い
 ・速く走ろうという気持ちからか、前傾を意識しすぎるため、腰から九の字に折れてしまっている。
 ・お尻だけひょっこり出てしまう。
 ・猫背+お尻が前に行きすぎ、体が大きくS字になっている。
 ・反対に腰を反って(お腹を突き出して)走っている
・腕の振りが悪い
 ・腕の振りが小さい
 ・腕を伸ばして振っている
 ・体よりも前の方だけで腕を振っている
 ・体よりも後ろの方だけで腕を振っている
 ・脇が空き、肩が上がるため、横振りになっている
・膝が前に出ていない(上がっていない。)
・あごが上がっている。
・余所見をして走る(幼児では以外に多い)
・足の回転が遅い。
・常にどちらかの足が地面についている。(地面からの反発を受けていないため)
・上半身と下半身の逆捻りが上手くできない。
・上下前後左右に体のブレがある
・接地時に踵からついている。(接地時の音が大きめで、どたどた・バタバタという感じの音がします。)
・接地時に足が体軸からずれている。
・接地の時、足が曲がっている。(足が大きく曲がった状態では地面からの反発力が半減されてしまいます。)
・接地後の足が後ろまで流れている(地面を強く蹴ろうという気持ちから、接地時間が長くなってしまい、地面からの反発力も弱く、回転も遅くなる。)
・走る姿はあまりかっこよくなく、力強さ(躍動感)もみられない。

足の遅い子はこれらのいづれかが複数当てはまるケースが多いと思います。


足の速い子ども、遅い子どもの特徴としていくつか例を挙げていますが、細かく言えばもっと多岐に分かれるかと思います。
また、現在は走り方にも様々な理論があり、それぞれの個人個人の特徴に合った走り方が必要だと言われてきています。
より専門的な知識を持つ指導者のもとで教えてもらうことで、子ども一人一人に合わせた走りができるようになり、かけっこの速さも格段に上がる可能性があります。

上記の中でもいくつかポイントを押さえ、速くなっていく実感を得られるようになるとやる気も芽生えてきます。
子どもが難しいと感じるようなら、無理強いは絶対にしないようにしましょう。


ただ、幼児の場合、上記の内容を細かく教えていくことは正直難しいでしょう。
「幼児には細かい指導は必要ない」のかもしれません。

それでは、実際にかけっこが速くなるにはどうしたら良いのでしょうか?

まず第一に子どもにやる気を起こさせることができるかどうかが鍵になります。

親が「子どもの足を速くしたい」「速くなって欲しい」と思うのは当たり前ではありますが、無理強いは禁物です。
絶対に「やる気」を削ぐようなことをしてはいけません。
もしかすると、お子様は走ることに対して苦手意識を強く持っているかもしれません。
苦手意識がある状態のまま色々教えようとしても、完全に逆効果で、走ることが大嫌いになる可能性が非常に大きくなります。


運動が得意なお父さんや、昔運動を頑張ってきたお父さんの中には、子どものやる気や習得の遅さに過剰に反応し、つい怒ったり、威圧的にプレッシャーを与えたりしてしまうケースが多々あります。


「なんでこんなことができないんだ!」
「できなくて悔しくないのか!」


子どもの能力や気持ちよりもお父さんの歯がゆさや悔しさを子どもにぶつけてしまう良くないケースです。
これは絶対にやめましょう。


まずは「やればできる」「自分にもできる」という見通しが立てられるような簡単な内容から少しづつはじめてみましょう。
すぐにかけっこ速くなるということではありませんので、親御様も気長に、ゆったりとした気持ちが必要です。

幼児の場合、細かい部分を修正したり直したりしようと考えるよりも、親子で少しの距離で良いので、毎日かけっこ競争をすることをオススメします。
※自動車が通る道路や、危険な場所ではしないようにしてください。

親子で、かけっこ競争をして、少しの差で負けてあげましょう。

「なんか最近足が速くなってきたね。」とか、

一度でもかけっこ練習をしたことがあった時は、

「前はこんなに速くなかったのに、この前の練習でもうこんなに速くなったの?」
とか、わざとらしいですが、子どものやる気を育てるには良い方法でもあります。

なかなかノッてこない子どもは、親御様が子どもの性格を考え、できそうな内容から始めてみましょう。
ほんの5mでも構いません。

「あそこまで早くタッチした方が勝ちだよ」

など、子どもが自分にでもできそうだという見通しができる内容から始めましょう。

「スタートが早い方がきっと勝つよね。」

とか、さりげなく勝つ方法を教えていきましょう。

少しずつ自信をつけさせてあげることで、走ることへの抵抗をなくし、走ることへの興味を持たせることが何より肝心です。

走ることの楽しさ、かけっこ競争することの楽しさを少しずつ教えていきましょう。
幼児にとって、「走ることが楽しい」、「もっと走りたい・競争したい」これが、かけっこが速くなる最も良い方法といえます。

毎日鬼ごっこなどをして遊んでいる幼児は、基本的に足が速く、俊敏です。
ですが、現在は鬼ごっこなどをして遊ぶ子どもの姿をあまり見かけなくなってきています。

環境的に外遊びが難しい、または一緒に外遊びする子どもがいない、といったケースがとても多くみられます。
現代では、親が意識して運動などをする機会を与えてあげないと難しくなってきているのかもしれません。

運動能力も二極化が進んでいます。
「かけっこ」も運動も、親がもっと機会を与えてあげられるように考えていくことが大切だと考えています。

動画ページ
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