「スキンシップは魔法の力」 はやし浩司先生の育児・教育指導
スキンシップには、人知を超えた不思議な力がある。
魔法の力といってもよい。もう20年ほど前のことだが、こんな講演を聞いたことがある。
アメリカのある自閉症児専門施設の先生の講演だが、そのときその講師の先生は、こう言っていた。
「うちの施設では、とにかく『抱く』という方法で、すばらしい治療成績をあげています」と。
その施設の名前も先生の名前も忘れた。が、その後、私はいろいろな場面で、「なるほど」と思ったことが、たびたびある。
言いかえると、スキンシップを受けつけない子どもは、どこかに「心の問題」があるとみてよい。
たとえばかん黙児や自閉症児など、情緒障害児と呼ばれる子どもは、相手に心を許さない。許さない分だけ、抱かれない。無理に抱いても、体をこわばらせてしまう。抱く側は、何かしら丸太を抱いているような気分になる。
これに対して心を許している子どもは、抱く側にしっくりと身を寄せる。
さらに肉体が融和してくると、呼吸のリズムまで同じになる。
心臓の脈動まで同じになることがある。
で、この話をある席で話したら、そのあと一人の男性がこう言った。「子どもも女房も同じですな」と。つまり心が通いあっているときは、女房も抱きごこちがよいが、そうでないときは悪い、と。
不謹慎な話だが、しかし妙に言い当てている。
このスキンシップと同じレベルで考えてよいのが、「甘える」という行為である。一般論として、濃密な親子関係の中で、親の愛情をたっぷりと受けた子どもほど、甘え方が自然である。
「自然」という言い方も変だが、要するに、子どもらしい柔和な表情で、人に甘える。
甘えることができる。心を開いているから、やさしくしてあげると、そのやさしさがそのまま子どもの心の中に染み込んでいくのがわかる。
これに対して幼いときから親の手を離れ、施設で育てられたような子ども(施設児)や、育児拒否、家庭崩壊、暴力や虐待を経験した子どもは、他人に心を許さない。許さない分だけ、人に甘えない。
一見、自立心が旺盛に見えるが、心は冷たい。他人が悲しんだり、苦しんでいるのを見ても、反応が鈍い。感受性そのものが乏しくなる。ものの考え方が、全体にひねくれる。
私「今日はいい天気だね」、子「いい天気ではない」、私「どうして?」、子「あそこに雲がある」、私「雲があっても、いい天気だよ」、子「雲があるから、いい天気ではない」と。
……と、皆さんを不安にさせるようなことを書いてしまったが、子どもの心の問題で、何か行きづまりを感じたら、子どもは抱いてみる。
ぐずったり、泣いたり、だだをこねたりするようなときである。
「何かおかしい」とか、「わけがわからない」と感じたときも、やさしく抱いてみる。
しばらくは抵抗する様子を見せるかもしれないが、やがて収まる。と、同時に、子どもの情緒(心)も安定する。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー4
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。