「知識と教養」 はやし浩司先生の育児・教育指導
知識と教養は、まったく別物。
たとえば幼稚園児がスラスラと掛け算の九九を言うのは知識。
しかしいくらこの知識があるからといって、その子どもが教養のある子どもということにはならない。教養とは、もともとその人の深い人間性と結びついたもの。
たとえばA君がB君に「チビ!」と言ったとする。
そのときそれを聞いたC君がA君に、「そういうことを言ってはダメ」とたしなめたとする。
そのたしなめる原動力となる深い人間性を、教養という。
ところがこの日本では、知識と教養が区別されていない。
されていないばかりか、知識のある子どもイコール、教養のある子どもということになってしまっている! あるいは勉強のよくできる子どもイコール、教養のある子どもとか、人格的にすぐれた子どもということになってしまっている! しかしこれはとんでもない誤解である。
むしろ事実は逆で、勉強のできる子どもよりも、勉強のできない子どものほうにこそ、豊かな人間性を感ずることのほうが多い。福田恒存も「伝統に対する心構」の中でこう書いている。
「教育と教養は別物です。……教養を身につけた人間は、知識階級よりも職人や百姓のうちに多く見出される」と。
福田ばかりではない。世界の哲学者も、知識に対する見方はきびしい。
「思考と知識はつねに歩みを一緒にすべきである。さもなければ、知識は死物で、不毛のまま死滅する」(語録)と言ったパスツール。
「教養と知識は別物だ。危険だと思われるのは、勉強していくにつれて陥る、あの呪われた知識というヤツだ。どんなものもみな、頭を通らなくては気がすまなくなる」(青春時代)と言ったヘッセなどがいる。
もちろん知識を否定してはいけない。
知識は人間がよりよい人生を築くための武器となる。
しかしその知識は常に両刃の剣。使い方をまちがえると、とんでもないことになる。そこでその使い方を教えるのが、教養ということになる。
さてあなたはどうだろうか。
あなたは子どもに知識をつけさせることが教育だと誤解していないだろうか。
そうでなければそれでよいが、もしそうなら、一度、知識と教養を頭の中で分けてみたらどうだろうか。
あなたの子どもについて言うなら、勉強がよくできるとかできないとかということではなく、「うちの子は本当に教養があるのだろうか」と、一度じっくりと観察してみたらどうだろうか。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー4
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。