「マトリックスの世界」 はやし浩司先生の育児・教育指導
少し前、キアヌ・リーブズ主演の、『マトリックス』という映画があった。
おもしろい映画だった。
仮想現実の世界を母体(マトリックス)と思い込んだ人たち(?)が、本当の母体を知るという映画だったが、しかしそれは映画の世界だけの話ではない。
子どもを育てるということは、人間を育てることをいう。
教育というのがあるとするなら、それは子どもに生きるために必要な知識や経験を、武器として与えることをいう。しかしそれが今、逆転している。
教育のために、子どもを育てるのが、この日本では子育ての基本になっている。
そら進学だ、そら受験だ、と。
人間を育てる世界を母体(マトリックス)とするなら、教育の世界は、いわば仮想現実の世界ということになる。が、ほとんどの親はその仮想現実の世界にハマりながら、それが仮想現実の世界だとすら気づかないでいる……! こんなことがあった。
K君(中1)という、本当にまじめな子どもがいた。
ただ能力的には、あまり恵まれていなかった。私のところへ来ても、ただひたすらコツコツと勉強をしていたが、そんなわけで学校での成績は思わしくなかった。で、最初の期末試験が終わったときのこと。
K君の母親から電話がかかってきた。
いわく、「成績が悪かった。もっと息子をしぼってほしい」と。しかし私はこう言った。
「K君には、よくがんばったねと言うことはできても、これ以上がんばれとは、私には言えない」と。
すると今度は父親から電話がかかってきて、「うちの息子はどうしても、S高(静岡県でも最難関の進学高校)へ入ってもらわねばならない。S高へ入れてもらえるか」と。そこで私が、
「うちは進学塾ではありません」と言うと、「君はうちの子ではS高は無理と言っているのか。失敬ではないか!」と、怒り出してしまった。
この両親のばあいも、人間を育てるという本来の母体(マトリックス)を忘れてしまい、仮想現実の世界で子どもを育てていた。本末転倒という言葉があるが、まさにその本末が転倒していた。
映画「マトリックス」は、もちろんSF(空想科学)映画だが、しかしSFとばかり言えない面がある。
一度仮想現実の世界にハマってしまうと、それが現実の世界だと思い込んでしまう。
さて、あなたも一度、あなたの仮想現実の世界を疑ってみたらどうだろうか。
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。