「依存性の二つの側面」 はやし浩司先生の育児・教育指導
依存性には、二つの側面がある。
(1)相互依存性と、
(2)依存性の伝播(連鎖)である。
相互依存性というのは、子どもに依存心をもたせることに無頓着な親というのは、自分自身もまただれかに依存したいという、潜在的な願望をもっているということ。
その潜在的な願望があるために、子どもが依存心をもつことにどうしても甘くなる。
つぎに依存性の伝播(連鎖)というのは、こうした依存性は、親から子どもへと伝播しやすいということ。
たとえば親に服従的であった子どもは、自分が親になったとき、こんどはそのまた子どもに服従を求めるようになりやすいということ。
こうして依存性は、親から子へと代々と受け継がれていく。これを依存性の伝播(連鎖)という。
何ともわかりにくい話になったので、わかりやすい例をあげて考えてみる。
たとえば依存心の強い子どもは、おなかがすいて何かを食べたいときでも、「○○を食べたい」とは言わない。
「おなかがすいたア〜(だから何とかしてくれ)」というような言い方をする。
こうした言い方というのは、子どもだけの問題ではない。
その子どもの親自身も、同じような言い方をする。ある女性(60歳)は、いつも自分の息子(35歳)にこう言っている。
「私も歳をとったからねエ〜」と。つまり「歳をとったから、何とかせよ」と。
……こう書くと、「それは日本語の特徴だ」と説明する人もいる。
日本人はそもそもはっきりと言うのを避ける民族だと。
しかしこのことを別の角度からみると、日本人には、それほどまでに依存性が、骨のズイまでしみこんでいるということにもなる。
つまり自分たちの依存性が、それが依存性であることがわからないまで、なれてしまっている、と。
で、ここにも書いたように、こうした依存性は、代々と、親から子どもへと伝えられやすい。
1人の人が、親には服従しながら、自分の子どもには服従を求めていくという二面性は、日常生活の中でもよく観察される。
このタイプの親は、自分の価値観で子どもを判断するため、自分に対して服従的な子どもを、「できのいい子」と判断する。たとえば親にベタベタと甘え、親の言いなりになる子どもイコール、かわいい子イコール、「いい子」と、である。
こうして考えてみると、日本では親のことを「保護者」と呼ぶが、この保護者という言葉は、子育てにおいてはあまりふさわしくない言葉ということにもなる。
言うまでもなく、保護と依存はちょうどペアの関係にある。親の保護意識が強ければ強いほど、それは同時に子どもに依存性に無頓着になる。
要は子育ての目標をどこに置くかという問題に行き着くが、子どもの自立ということを目標にするなら、依存心は、親にとっても、子どもにとっても好ましくないものであることは、言うまでもない。
●依存性の二つの側面 | ●親は子で目立つ |
●赤ちゃん言葉 | ●臥薪嘗胆(がしんしょうたん) |
●依存心と人格 | ●親は外に大きく |
●心の風邪……いかにして「無」になるか | ●互いに別世界 |
●自分を知る | ●バカなフリをして、子どもを自立させる |
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。