「親子とは」 はやし浩司先生の育児・教育指導
東洋では、「縁」という言葉を使う。「親子の縁」というときの縁である。
今でもこの日本では、その縁という言葉を使って、子どもをしばることがある。
ある男性(45歳)は、母親(76歳)に貯金通帳を預けておいたのだが、その母親は勝手にその通帳からお金を引き出し、全額、自分の借金の返済にあててしまった。
その男性(45歳)が、たまたま半年あまり、アメリカへ行っている間のできごとだった。
帰国後それを知ったその男性は、母親に、「親子の縁を切る」と迫ったが、母親はこう言ったという。
「親が先祖を守るために、息子の金を使って何が悪い! 親子の縁など切れるものではない!」と。
しかしその事件があって、その息子は親との縁を切った。
10か月近くも苦しんだあとの結果だった。今年50歳になるその男性はこう言う。
「母はその10か月の間、ほとぼりを冷まそうとしたのですが、私のほうはその10か月で心の整理をしました」と。
その男性は、親子であるがゆえに悩んだ。苦しんだ。
この事件だけで親子とは何かを定義づけることはできないが、しかしこれだけは言える。
いろいろな家族がいる。そしてその中身も人それぞれによって違う。
しかし最後の最後に残るのは、純粋な人間関係のみである、と。
あなたが親なら、いつかあなたは自分の子どもを1人の人間としてみるときがくる。
一方、あなたの子どももあなたをいつか、1人の人間としてみるときがくる。
そのとき互いにそういう「目」に耐えられるなら、それでよし。そうでなければ、親子といえども、その関係はこわれる。決して永遠のものでも、不滅のものでもない。またそういう幻想に甘えてはいけない。そういう意味で、親が親であるのは、たいへんきびしいことでもある。
とくにこの日本では、親子の関係がどうしてもドロドロしがちである。
「ドロドロ」というのは、互いの「私」が、そのつど入り混じり、どこからどこまでが「私」で、どこからどこまでが「私でない」のかわからないことをいう。
ここに例としてあげた母親のケースでも、いまだにその母親は息子のその男性に、お金を無心にきたり、関係を修復しようと、あれこれ食べ物などを送ってくるという。
その男性はこうつづける。「母は死ぬまで、とぼけるつもりでいるようです。母としてはその方法しかないのでしょうが、私はもう母から解放されたいのです」と。
親子とは何か。
親は子どもをもったときからこの問題を考え始め、そして自分が死ぬまでこの問題を考えつづける。
たいていの人は、その結論が出る前に、この世を去る。そうそうあの芥川龍之介は、こう書いている。
「人生の悲劇の第一幕は、親子となったときにはじまってゐる」(「侏儒の言葉」)と。
ひとつの参考にはなる。
●遠慮 | ●見方を変える |
●追えば追うほど、心を削る | ●子どものおねしょとストレス |
●遅れたら、「核」づくり | ●男らしさ、女らしさ |
●子どもの理性 | ●親子とは |
●教えずして教える | ●ユニバーサルスタジオ |
●親のうしろ姿 | ●大声で笑わせる |
●おどしは理性の敵 | ●子どもへの禁止命令 |
●未来を楽しみにさせる | ●依存心と自立心 |
●本当の問題 | ●あるがままを受け入れる |
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。