「子どもの理性」 はやし浩司先生の育児・教育指導
「理性」とは、善と悪を両方に置き、その善悪の判断に従って冷静に考えたり行動したりする感覚のことを、理性という。
簡単に言えば、「バランス感覚」ということになる。
このバランス感覚に欠けると、子どもは極端なものの考え方をするようになる。
「地球の人口は多すぎるから、核兵器か何かで、人口の半分を殺せばいい」と言った男子高校生がいた。
あるいは「私は結婚して、早く未亡人になって、黒い喪服を着てみたい」と言った女子高校生がいた。そういうようなものの考え方をして、みじんも恥じなくなる。
子どもの理性は、かなり早い時期にできる。年長児の段階では、かなり決まっている。
たとえば「ブランコを横取りされました。あなたはどうしますか」という問題を出したとき、バランス感覚のすぐれている子どもは、「順番を待ってもらう」とか、「先生に言いつける」とか言う。
しかし中には、「そういうヤツはぶん殴ってやる」とか言う子どもがいる。
そこで私が「どうして?」と聞くと、「どうせ、そういうヤツは口で言っても、わからネエ」と。
このバランス感覚は、静かで穏やかな家庭環境ではぐくまれる。
もちろん愛情も大切だが、それ以上に大切なのは、子ども自身が静かに考えて行動する環境があるかどうか、だ。
神経質な過関心、威圧的な過干渉、さらには家庭騒動や家庭崩壊などがあると、子どもは心の落ち着きをなくし、ついでそのバランス感覚をなくす。
さらにたとえば極端に甘い父親、極端にきびしい父親が同居するようなばあいにも、子どもはこのバランス感覚をなくすこともある。J君(中一)がそうだった。
ある日私にこう言った。「先生、おれの親父ね、毎晩ひとりでこっそりと、エロビデオ、見てるんだよ。先生も見てるのか?」と。言ってよいことと悪いことの区別すらつかない。
昔からの裕福な家庭で、外見からは問題があるようには見えなかった。
しかしいろいろ話を聞くと、家庭をかえりみない父親、教育熱心な母親、それにデレデレに甘い祖父母と同居していることがわかった。
つまりJ君の家庭では、J君に対してそれぞれがてんでバラバラな接し方をしていた。それが原因だった。
理性のこわいところは、それは一度破壊されると、以後、修復がたいへんむずかしくなるということ。
その後の経験で、理性的な判断力が育つことはあるかもしれないが、それは古いキズの上にかさぶたができるようなものではないか。
さらに幼児期に一度心がすさむと、それをなおすのは、不可能とさえ言える。要はそういう状態にまで子どもを追いつめないということ。幼児期に一度キズついた心は、顔についたキズのようで、消えることはない。
ついでに一言。理性はつくるのに、数年かかるが、こわすのは、半日でよい。
それくらいデリケートなものであることを忘れてはならない。
●遠慮 | ●見方を変える |
●追えば追うほど、心を削る | ●子どものおねしょとストレス |
●遅れたら、「核」づくり | ●男らしさ、女らしさ |
●子どもの理性 | ●親子とは |
●教えずして教える | ●ユニバーサルスタジオ |
●親のうしろ姿 | ●大声で笑わせる |
●おどしは理性の敵 | ●子どもへの禁止命令 |
●未来を楽しみにさせる | ●依存心と自立心 |
●本当の問題 | ●あるがままを受け入れる |
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。