「ぬり絵」 はやし浩司先生の育児・教育指導
以前、一時期、ぬり絵が子どもたちの世界から消えたことがある。
中に「子どもたちをぬり絵というワクの中に閉じ込めてはいけない」などと、とんでもないことを言う教育家も現れたりした。しかしぬり絵には、すばらしい効果が、いくつかある。
(1) 運筆能力を養う
……手でペンや鉛筆をもって絵や文字をかくという能力は、いわば特殊な能力である。
ある程度の指導と訓練があってはじめて、それができるようになる。
しかもその時期は、かなりはやい時期で、年中児(五歳児)になるころには、すでにその能力は定着する。だから子どもにペンをもたせるようになったら、ぬり絵をすることをすすめる。
子どもはこまかいところを、縦線、横線、あるいは円い線を使いながら塗りつぶすことを覚える。
文字の学習に入る前に、ぬり絵をするとよい。
(2) 色彩感覚
……たとえば白黒の線だけでかいた、森や家や川のある絵をわたし、子どもに色をぬらせてみてほしい。
色彩感覚が豊かな子どもは、色づかいが自然で、おとなが見てもほっとするような色づかいで色をぬる。そうでない子どもは、たとえば紫色の空、茶色の川、黒い家など、どこかぞっとするような色をぬる。
(緑の木を茶色にぬったりすれば、色覚障害が疑われるが……。)その色彩感覚も、ぬり絵で養うことができる。
いくつかの注意点もある。そのひとつは、常識の押しつけをしないということ。
「髪の毛は黒でしょ!」「川は青でしょ!」式の押しつけは禁物。
またこの時期、子どもは周期的に自分の好きな色をつかうことが多い。
ある時期は青ばかりで。それが終わると今度は紫ばかりで、というように。よくある現象なので、あまり神経質になる必要はない。
幼児心理学の世界では、色づかいによって幼児の心理を判断するという方法もある。
私は30年間、この問題を考えてきたが、結論は、「?」。
中にもっともらしい解説をつける人もいるが、私はいつも「?」マークをつけている。
それはちょうど、「赤い服の人は情熱的で、青い服の人は心が冷たい」と判断するようなものだ。
服の色などというのは、そのときの気分で決まる。
幼児の心理は、もっと別の方法でさぐるべきではないのか。
またそのほうが、正確に判断することができる。ただこういうことは言える。
子どもというのは、心理的に大きく変化するとき、ついで色好みが変化することもある。
しかしこのばあいも、子どもが思春期になってからのことで、幼児にあてはめることはできない。
(注)色覚障害者……男児に多く見られる劣性遺伝で、黄色人種は男性の5%、女性は0.2%。(白人は8%、黒人は1%)と言われている。つまり、日本人男性の5%、男性の人口が5123万人(95年調べ)なので、その5%=約256万人が、色覚障害者ということになる(厚生労働省「手引き」より)。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー11
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。