「詰め込み教育」 はやし浩司先生の育児・教育指導
どこかの本山の小僧たち。
机を「コ」の字型に並べて、読経の練習をしている。
その本山では、どこでもそうだが、徹底した上意下達方式のもと、小僧たちはこれまた徹底的に教義を叩き込まれる。
疑問をもつことはもちろんのこと、質問することすら許されない。
反感をもったら最後、即、本山から叩き出される。
日本の教育のルーツは、寺子屋。
その寺子屋のルーツは、その本山教育にある。
明治※年、学校教育法が施行されたが、この教育方法は、軍国主義の台頭とともに、さらに強化された。
それがどういう教育であったかは、いまさらここに書くまでもない。
で、戦後日本の教育は変わったかというと、それは疑わしい。
いや、教育を変えようとする動きはあるにはあったが、日本人、つまり親たちの意識は変わらなかった。
その親たちが、学歴社会を復活させ、受験競争を復活させた。
「何だかんだといっても、やはり学歴ですから」という、いわばなし崩し的な教育観が、戦後の教育改革をことごとく失敗させた。いろいろ言われているが、学校教育はまさにそのウズの中で翻弄(ほんろう)されたに過ぎない。
教育法とてその流れから出ることができなかった。独創的なアイデアをもった教師がいたとしても、「受験勉強にさしさわりがある」という理由で、かえって排斥されてしまった。そういう例は、数多くある。
たとえばM小学校(浜松市)の教師は、毎日のように隣の公園へ生徒たちをつれていき、そこで野外教室を開いた。
しかしそれにストップをかけたのは、ほかならぬ親たちであった。
だから今、戦後60年近くにもなろうというのに、いまだに詰め込み教育が、教育の「柱」としてなされている。
私の知人の東大の元教授は、高校の理科の授業を参観したあと、つぎのような印象をもらしている。
「先生のしていることは『どうだ、解ったか? 覚えておけ』と、まさに一方通行です。
それで入試に成功するのです。生徒たちは授業を受けるし方はそうやって先生の言うことを理解し覚えることと思っています。
そのやり方が困ったことに大学に持ち込まれます。
ですから講義中に学生からの質問はないのです。考えながら講義を聴く習慣がないのです。
アメリカの大学生たちとはおお違いです」と。この授業の形態そのものが、本山教育そのものと言ってもよい。
ほとんどの親たちも、そして子どもたちも、そういうのが教育だと思い込んでいるし、さらに悲劇的なことに、教師自身も、そういうのが教育だと受け入れてしまっている。もちろんこうした教育を変えようとする動きもあるが、社会全体の力はそれ以上に大きい。
体制の流れというのはそういうもので、一朝一夕には変えられない。私立高校でも大学受験に背を向ければ、あっという間に閉鎖に追い込まれる。悲しいかな、それが日本の現実なのだ。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー11
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。