「宗教のもつ愚鈍性」 はやし浩司先生の育児・教育指導
ある宗教を信仰している人は、それなりに穏やかな顔をしている。
表情やしぐさまで違ってくる人がいる。
さらに見るからにどっしりと、落ち着いている人もいる。
思想というのはそういうもので、他人のそれであっても、「絶対正しい」と思われるものを脳に注入されると、脳というのはそれで満足してしまう。が、同時に、自ら思考することをやめてしまう。
一度そうなると、まさに上意下達方式のもと、「上」から「下」へ一方的に思想が注入される。
これがこわい。
……と言っても、私は宗教を否定しているのではない。信仰を否定しているのでもない。
しかし宗教や信仰には、高邁な哲学と引き換えに、その人をして自ら考えさせるのをやめさせてしまうという麻薬性がある。それは否定できない。
中には、その宗教の批判を一切許さない宗教がある。(たいていの宗教はそうだが……。)
疑っただけで、「地獄へ落ちる」とか、その宗教から離れただけで、「バチが当たる」と脅す宗教団体もある。が、それでも私は宗教を否定しているのではない。信仰を否定しているのでもない。
それぞれの人は、それぞれの思いの中で、宗教や信仰に身を寄せる。
この私とて、今は何とかがんばっているが、やがてそれができなくなったら、宗教や信仰に身を寄せるかもしれない。
私が知っている哲学者や文学者の中には、死の直前になって入信した人が何人かいる。
私がそういう人たちより強いという自信は、今のところ私にはまったくない。
しかしこれだけは言える。
仮に宗教や信仰をしても、自ら考えることはやめてはいけない。
ある男性はこう言った。
私が「少しは指導者の言うことを疑ってみてはどうですか」と聞いたときのこと。
「あの先生は、何万冊もの本を読んでおられる。まちがいない」と。
こうした愚鈍性が見られたら、それはまさにその人の敗北でしかない。
他人の意見は他人の意見。参考にはしても、自分のものにしてはいけない。
それはちょうど、借金ばかりで建てた家に住むようなものだ。
借金ばかりで買った車に乗るようなものだ。家や車ならまだよいが、人生はそうであってはいけない。
いわんや自分の「魂」まで売り渡してはいけない。
たとえ不完全でも、人間は自らの足で立ちあがるからこそ、そこに生きる価値がある。
医学も政治も社会も科学も、どれも不完全なものばかりだが、その不完全さを一つずつ克服していくから、人間なのである。生きるドラマもそこから生まれる。
もっとも、愚鈍でもよい。
その日その日を、平和で無事に過ごせれば、それでよいという人も少なくない。
もしあなたがそうなら、私はこれ以上何も言うことはない。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー10
NO’217〜NO’240
●新居の関所 | ●一芸論 |
●便利な世界 | ●一芸は聖域 |
●案ずるより産むがやすし | ●フリ勉、ダラ勉、時間ツブシ |
●威圧で閉じる子どもの耳 | ●勉強が苦手な子ども |
●よい子論 | ●「今」の価値を忘れない |
●子どもの家出 | ●ええじゃないか |
●現場主義 | ●子どもの創造力 |
●子どもの意地 | ●習うより慣れる |
●子どもの自我 | ●子どもの嫉妬 |
●いじめられっ子は徳をつむ? | ●子どもの闘争心 |
●ホームスクール | ●権威主義者 |
●いたずらとジョーク | ●無限ループの世界 |
NO’1〜NO’24 | NO’73〜NO’96 | NO’145〜NO’168 |
NO’25〜NO’48 | NO’97〜NO’120 | NO’169〜NO’192 |
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。