「ええじゃないか」 はやし浩司先生の育児・教育指導
慶応8年(1867)というから、まさに幕末のころ。
名古屋市周辺で、奇妙な踊りが流行した。
きっかけは伊勢神宮の御札が天から降ってきたためと言われているが、もちろんそれは言い伝えに過ぎない。
人々は狂ったように踊りだした。「ええじゃないか、ええじゃないか」と。
言い伝えによると、女は男装、男は女装し、太鼓や三味線をならし、踊り狂ったという。
「群集が地主である庄屋や金持ちの商人の家へ土足で入り込む。
で、なぜか押し込まれたほうは、酒や肴(さかな)を際限なく振る舞った。
押し入った人々は金品をまき散らし、これくれてもええじゃないかともち去る。
で、取られたほうは、それやってもええじゃないかとやってしまう。
役人が止めようとしても、まったく聞き入れない。
踊りくたびれると、だれの家でもかまわず寝てしまい、目が覚めると、またええじゃないかと踊りだす。
このええじゃないかはウワサはウワサを呼び、東海道筋から東に江戸、横浜、静岡。西は京都、大阪、西宮にまで及んだ」(マスダ組「歴史概論」)という。
この「ええじゃないか」について、「この大騒動をカモフラージュして、倒幕派は着々と江戸幕府打倒の動きを進めていた」(同「歴史概論」という説もあるが、私はそういう政治的背景は、当時の日本にはなかったと思う。
結果として、倒幕運動に利用したという動きはあったかもしれないが、そうした高度な政治意識というのは、近年になって生まれたもの。江戸幕府があった東京で起きたとか、薩摩、長州の息がかかった京都で起きたというのなら話もわかる。
しかしこの「ええじゃないか」は、名古屋市周辺で起きているということを忘れてはならない。
それはともかくも、その根底に、鬱積した民衆の不平や不満があったことは事実だ。
しかし当時の日本は、いくら幕末とはいえ、それを訴える自由もなければ方法もなかった。
300年も続いた封建体制の中で、民衆は骨のズイまで「魂」を抜かれていた。
「自由」が何であるかさえわからない状態で、この運動は起きた。が、私はこの運動こそが、まさに現世逃避の象徴ではなかったかと思う。
「この世はどうなってもええじゃないか。あの世があるではないか」と。
それはまさに前世、来世論で組み立てられた日本の仏教の教えを、そのまま象徴していたともとれる。
このええじゃないかが、幕末の話でないことは、映画化もされ、また日本各地で、イベントとして再現されていることでもわかる。
「これこそ日本人のやさしさ」と美化する動きさえある。
しかし本当にそうか? そうあってよいのか? 「今」という現実を直視するのが苦手な日本人が、現実逃避の新たなる手段として利用しているとも考えられるのだが、皆さんはどう考えるだろうか。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー10
NO’217〜NO’240
●新居の関所 | ●一芸論 |
●便利な世界 | ●一芸は聖域 |
●案ずるより産むがやすし | ●フリ勉、ダラ勉、時間ツブシ |
●威圧で閉じる子どもの耳 | ●勉強が苦手な子ども |
●よい子論 | ●「今」の価値を忘れない |
●子どもの家出 | ●ええじゃないか |
●現場主義 | ●子どもの創造力 |
●子どもの意地 | ●習うより慣れる |
●子どもの自我 | ●子どもの嫉妬 |
●いじめられっ子は徳をつむ? | ●子どもの闘争心 |
●ホームスクール | ●権威主義者 |
●いたずらとジョーク | ●無限ループの世界 |
NO’1〜NO’24 | NO’73〜NO’96 | NO’145〜NO’168 |
NO’25〜NO’48 | NO’97〜NO’120 | NO’169〜NO’192 |
NO’49〜NO’72 | NO’121〜NO’144 | NO’193〜NO’216 |
NO’217〜NO’240 | NO’241〜NO’264 | NO’265〜NO’282 |
NO’283〜NO’292 |
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。