「いじめられっ子は徳をつむ?」 はやし浩司先生の育児・教育指導
世の中にはいじめる人、いじめられる人がいる。
またいじめられる人が、どこかでだれかをいじめ、いじめる人が、どこかでだれかにいじめられるということもある。
意識していじめたりすることもあるが、意識しないでいじめることもある。
人間関係はそれだけ複雑だが、子どもの世界もまたしかり。
いじめる側が絶対的な悪であり、加害者ということにはならない。
いじめられる側が絶対的な善であり、被害者ということにもならない。
いじめのない世界は理想だが、しかしいじめのない世界はない。
それは人間も含めて、すべての動物が共通してもつ宿命のようなものではないか。
このことは飼っている犬をみてもわかる。
つまり「いじめ」という表面に表れた症状だけをみて、いわば対症療法するだけではこの問題は解決しないということ。いじめの「根」はもっと深く、大きい。
最近の傾向としては、ささいないじめまで、「そら、いじめだ!」と大騒ぎする親が多いということ。
もちろん問題とすべきような大きないじめもあるが、大半は、子どもどうしのトラブルと考えてよい。
子どもは(そしておとなも)、それぞれの摩擦や衝突、解決や和解をとおして成長する。
ただこういうことは言える。
いじめる側はいつも何か大切なものをなくし、いじめられる側はいつも何か大切なものを手に入れるということ。
以前、O君という中学生がいた。
彼はやさしくて、だれにも親切な子どもだった。
ある日学生服をみると、背中にいっぱい落書きがしてあった。「どうしたの?」と聞くと、O君は、
「いいんです。ふざけていただけです」と笑ってごまかしていた。
明らかに皆のいじめにあっていたが、そのためか、O君にはおとなの私をもほっとさせるような人間味があった。で、その結果ということになるが、大学は、学校の推薦を受け、日本でも一、二を争う私立大学へ入学した。
高校の先生たちも、私が感じたのと同じ印象をO君にもったためではないか。
私もいつか、「こういうO君のような子どもが成功しない世界があったとしたら、その世界のほうがまちがっている」と思ったことがある。
もちろんいじめられて心がゆがむ子どもも少なくない。
いじけたり、ひがんだり、あるいはそれが原因で不登校を起こしたりすることもある。
皆が皆、O君のようになるというわけではない。そういう意味でも、いじめは大きな問題だし、無視してよいというわけではない。
が、もし、少なくともアメリカのように、日本人も、「学校とは行かねばならないところ」という呪縛から少しは解放されたら、少しはこの問題の見方も変わってくるのではないか。
アメリカではホームスクーラーが、2001年の終わりには200万人を超えたと言われている。
つまり教育の硬直化が、いじめの問題をより深刻化させているとも考えられなくはない。
そういう視点でも、この問題は考えてみるべきではないのか。
あくまでもひとつの参考的意見にすぎないが……。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー10
NO’217〜NO’240
●新居の関所 | ●一芸論 |
●便利な世界 | ●一芸は聖域 |
●案ずるより産むがやすし | ●フリ勉、ダラ勉、時間ツブシ |
●威圧で閉じる子どもの耳 | ●勉強が苦手な子ども |
●よい子論 | ●「今」の価値を忘れない |
●子どもの家出 | ●ええじゃないか |
●現場主義 | ●子どもの創造力 |
●子どもの意地 | ●習うより慣れる |
●子どもの自我 | ●子どもの嫉妬 |
●いじめられっ子は徳をつむ? | ●子どもの闘争心 |
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●いたずらとジョーク | ●無限ループの世界 |
NO’1〜NO’24 | NO’73〜NO’96 | NO’145〜NO’168 |
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。