「よい子論」 はやし浩司先生の育児・教育指導
善人も悪人も、大きな違いがあるようで、それほどない。
ほんの少しだけ入り口が違っただけ。ほんの少しだけ生きザマが違っただけ。
同じように、よい子もそうでない子も、大きな違いがあるようで、それほどない。
ほんの少しだけ育て方が違っただけ。そこでよい子論。
この問題ほど、主観的な問題はない。
それを判断する人の人生観、価値観、子育て観など、すべての個人的な思いが、そこに混入する。
さらに親から見た「よい子」、教師から見た「よい子」、社会から見た「よい子」がすべて違う。
またどのレベルで判断するかによっても、変わってくる。
たとえば息子が同性愛者になったことを悩んでいる親からすれば、女友だとち夜遊びをする女の子はうらやましく思えるもの。(だからといって、同性愛が悪いというのではない。誤解がないように。)それだけではない。
どんな子どもにもいろいろな顔があって、よい面もあれば悪い面もある。こんなことがあった。
K君(小5)というどうしようもないワルがいた。
そのため母親は毎月のように学校へ呼び出されていた。
小さいころから空手をやっていたこともあり、腕力もあった。で、相談があったので、私は月に1、2回程度、彼の勉強をみることにした。
で、そうして1年ぐらいがたったある夜のこと、私はK君と母親の3人でたまたま話しあうことになった。が、私はK君が悪い子だとはどうしても思えなかった。
正義感は強いし、あふれんばかりの生命力をもっていた。
おとなの冗談がじゅうぶん理解できるほど、頭もよかった。
それで私は母親に、「今はたいへんだろうが、K君はやがてすばらしい子どもになるだろうから、がまんしなさい」と話した。で、それから一週間後のこと。
私が一人で教室にいると、いつもより30分も早くK君がやってきた。
「どうしたんだ?」と聞くと、K君はこう言った。「先生、肩をもんでやるよ」と。
よい子かそうでない子かというのは、結局はその子どもの生きザマをいう。
もっと言えば、子ども自身の問題であって、ひょっとしたそれは親の問題ではないし、いわんや教師の問題ではない。
まずいのは、親や教師が「よい子像」を設計し、それにあてはめようとすることだ。
そしてその像に従って、子どもを判断することだ。そんな権利は、親にも教師にもない。
要は子ども自身がどう生きるかで決まる。
つまりその「生きザマ」が前向きな方向性をもっていればよい子であり、そうでなければそうでないということになる。
たいへんわかりにくい言い方になってしまったが、よい子、悪い子というのも、それと同じくらいわかりにくいということ。もっと言えば、この世の中によい人も悪い人も存在しないように、よい子も悪い子も存在しないということになる。
……これが私の今の結論であり、しばらくは「よい子」論を考えるのをやめる。
それを考えても、意味はない。まったくない。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー10
NO’217〜NO’240
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●案ずるより産むがやすし | ●フリ勉、ダラ勉、時間ツブシ |
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。