「愛想は悪くて当たり前」 はやし浩司先生の育児・教育指導
子どもは生後六か月くらいから一歳半にかけて、人見知りする時期がある。
見知らぬ人に近寄られたり抱かれたりすると、ワーワー泣いて抵抗したり、いやがったりする。じっと相手を見すえることもある。
しかしこれはきわめて自然な反応であり、それをおかしいとか、悪いとか決めてかかってはいけない。
この時期をとおして子どもは親との絆(きずな)を深める。
(あるいはもっと本能的な意味があるのかもしれないが、私にはよくわからない。)
ふつう穏やかな家庭で、豊かな愛情を受けて育った子どもほど、静かな落ち着きを示す。
どっしりしているというか、態度が大きい。反対に不安定な家庭で、愛情飢餓の状態で育てられた子どもほど、反対にヘラヘラとし、見た目には愛想がよくなることがある。
一見人なつっこくみえるが、その実だれにも心を許さない。許さない分だけ、心は冷たい。
あるいは自分がキズつくのを恐れるあまり、先に自分から相手をキズつけて遠ざかろうとする。
たとえば自分が好意を寄せている相手に、わざと意地悪をして嫌われる、など。どこかものの考え方がゆがんでくる。私はこのことを、二匹の犬を自分で飼ってみて発見した。
1匹は保健所で処分される寸前にもらってきた犬。これをA犬とする。
もう一匹は愛犬家のもとで手厚く育てられた犬。これをB犬とする。
この2匹の犬はまるで性格が違う。A犬は育児拒否を経験した犬。一方B犬は愛情をたっぷりと受けた犬。
A犬はだれにでもシッポを振るので番犬にはならない。
いつもどこかオドオドしている。
一方B犬は忠誠心も強く、見知らぬ人が家の中へ入ってきたりすると、ワンワンとほえる。
態度も大きい。ガムをかんでいたりすると、私が呼んでも、返事もしない。
つまりそれだけ安心しているということか。
だから人間の子どもも……、というのは、少し危険な意見かもしれないが、それほどまちがっていないような気がする。
冒頭にあげた子どもが人見知りする時期に、親の愛情が希薄で、たとえば施設に入れられて育ったような子どもは、どこかA犬のような様子を見せる。が、人見知りがはげしく、「うちの子は人見知りが強くて困ります」と言った子どもほど、B犬のような様子を見せる。(そういう意味で、本能的な意味があるかもしれないと先に書いた。)
昔から「愛想がいい子はいい子」と言うが、そんな単純な問題でもない。
子どもの「愛想」にもいろいろな問題が隠されている。それがわかってほしかった。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー9
NO’193〜NO’216
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●教育と指導 | ●あせる親は結論も早い |
●いい学校から、いい家庭へ | ●遊びが子どもの仕事 |
●疑いをいだかない愛 | ●思考回路 |
●愛情は落差の問題 | ●構造的な問題 |
●愛想は悪くて当たり前 | ●知識と学力 |
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。