「疑いをいだかない愛」 はやし浩司先生の育児・教育指導
子どもというのは、絶対的な愛があってはじめて心をはぐくむことができる。
「絶対的」というのは、「疑いをいだかない」という意味。
言いかえると、子どもが家族の愛に疑問や不安をもったりすると、その心は確実にゆがむ。
たとえば親の冷淡、無視、拒否的態度が日常的につづくと、子どもはいわゆる愛情飢餓の状態になり、さまざまな不安定症状を表すことが知られている。
ぐずったり、反対にイライラと怒りっぽくなったりするなど。
そしてそれがさらに慢性化すると、性格そのものがゆがむことが多い。すねたり、いじけたり、ひねくれたりするなど。がんこになったり、いじっぱりになったりすることもある。
この段階になると、神経症による症状を訴えることも多い。が、それではすまない。こんなことがあった。
小学1年生の女の子だが、断続的に不登校を繰り返していた。
最初は「不登校かもしれない」と母親は心配したが、「断続的」という点で、学校恐怖症による不登校とは区別される。で、ときどきその子を学校へつれていくのだが、母親が教室の中にいる間は、それなりにおとなしく授業を受けることができる。が、見えなくなったとたん、ギャーッと泣いてあとを追いかけたりする。
それだけを見れば今度は、分離不安ということになる。が、どうも分離不安の様子とも違った。で、さらに観察してみると、ほかにネチネチと母親に甘えるという症状もあることがわかってきた。
そこで調べてみると、案の定、原因はどうやら下の弟(四歳)らしいということがわかってきた。
赤ちゃんがえりである。
こうしたケースでも、表面的な症状だけをみると、判断をまちがえる。
ふつう子どもがわけの分からない症状を示したら、愛情問題を疑ってみる。
この赤ちゃんがえりにしても、本能的な嫉妬心がその背景にあるとみる。
下の子どもに向けられた愛情をもう一度取り戻そうと、子どもは本能的に赤ちゃんを演じてみせる。
本能的であるがため、説得したり叱ってもムダで、対処のし方がまずいとこじれにこじれてしまう。
それこそありとあらゆる情緒不安症状を示すようになる。
その女の子にしても、親たちが下の子ばかりをかわいがるのを見て、自分への愛情に大きな不安を感じたのだろう。
親は「平等だ」というが、平等ということそのものが、上の子どもには納得できないのだ。
……などなど。これはほんの一例にすぎないが、子どもというのは愛情がからむ問題には、きわめて敏感に反応する。そういう意味でも、子どもの側からみて、「疑いをいだかない家庭環境」をいつも大切にする。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー9
NO’193〜NO’216
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●教育と指導 | ●あせる親は結論も早い |
●いい学校から、いい家庭へ | ●遊びが子どもの仕事 |
●疑いをいだかない愛 | ●思考回路 |
●愛情は落差の問題 | ●構造的な問題 |
●愛想は悪くて当たり前 | ●知識と学力 |
●子どもへの虐待 | ●頭を良くする方法 |
●あきらめは悟りの境地 | ●読書のしつけ |
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。