「内容のない本は身を飾る」 はやし浩司先生の育児・教育指導
雑誌社などをのぞいてみると、実際教えたことがない人が、教材を作っていたりする。(だからといって教えている人が、すばらしい教材を作れるということにはならないが……。)そういうところでは、教材にせよ本にせよ、はたまた雑誌にせよ、それは「商品」でしかない。
高邁な教育観をもって教材開発に取り組んでいる編集者など、さがしてもいない。
またそういうものを期待するほうがおかしい。
実際のところ、どこの編集部でも「いい教材」よりも、「売れる教材」を念頭において、教材開発をする。あるいは制作と同時に、販売先の確保を優先する。編集部よりも販売部のほうが力がある。
長い前置きになったが、その商品を売るにはコツがある。
そのひとつが、「飾る」。実際あったことを書く。数年前だが、私は教育書の大手であるR社に原稿をもちこんだことがある。
そのときは「検討しておきます」ということだったが、数日後、編集部の部長から電話があり、長い世間話のあと、おもむろにこう言った。「K教授をご存知ですよね。あのK教授です。あのK教授の名前でなら、あなたの本を出してもいいのですが……」と。
もちろん私は断ったが、こうした出版方法は、この世界では珍しいことではない。
ベストセラーを何冊も出したような出版社ともなると、その教授専門のライターを置いているところもある。
私が99%書いた本だが、ほかの人の名前になっている本だって、10冊はある。
よく盗作が話題になるが、盗作どころではない。
盗作以上の盗作が、この世界では平気でなされている。
しかもその道の権威者と言われる「すばらしい教育者」(?)たちがそうしている。
要するに「飾り」。
飾りがあれば本は売れる。(これは本が売れない私のひがみのようなものかもしれないが……。)そのために出版社はあれこれ飾りを入れる。
今でこそ少なくなったが、ほんの少し前まで、ささいな教材や参考書にまで、○○大学××教授監修、あるいは指導と、ぎょうぎょうしい肩書きを載せるのが慣習になっていた。そういうのを載せれば、よく売れるからである。
で、数年後のこと。
近くの書店でR出版社のブックコーナーがあった。見るとあのK教授の新刊書がずらりと並んでいた。いくつかをパラパラとめくって読んでみたが、どれもとても八〇歳をこえた老人が書いたと思われないような若々しい文体の本ばかりだった。私は「ああ、あのときの本だな……」と思って、その場を離れた。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー8
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情報・画像の出展:はやし浩司先生
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。