「どんな雲にも銀のふちどり」 はやし浩司先生の育児・教育指導
イギリスの格言に、『どんな雲にも銀のふちどり』という格言がある。
つまりどんな雲にも、そのまわりには銀色に輝くふちどりがあることを言ったもの。
「どんなに苦しいときでも、必ず希望があるから、その希望を捨ててはいけない」と。
ひとつの固定した視点からみると、どうしても絶望的にならざるをえない子どもというのは、たしかにいる。K君(中1男子)がそうだった。
何を教えても、ザルで水をすくうように、その教えたことがどこかへ消えていく。
教室といっても、私の教室は1クラス5、6人の小さな教室だが、しかしK君のような生徒がいると、ほかの生徒がどんどんとやめていく。それくらいK君というのは学校でも有名な(?)子どもだった。
で、彼が中学3年生になるころには、生徒は2人だけになってしまった。
いや、少しでもK君がふざけた態度をしたら、それを理由に私はK君を教室から追い出していたかもしれない。が、K君はただひたすらに私のところで勉強をした。
そんなある日のこと、私はK君にこう言った。
「どんな大工でも建てたところからどんどん壊されたら、怒るぞ」と。
教えても教えてもそれがムダになっていく自分のはがゆさをK君にぶつけた。が、それでも、K君は涙をこぼしながら私に従った。
希望というのは、視点を変えると、それが希望でなくなるときがある。
しかし視点を変えると、今まで以上に明るく輝き始めるときがある。
あるいは希望など何もないと思っていたところに、実はすばらしい希望が隠されていたりすることがある。
大切なことは、そのつど視点を変えたり、あるいはもう一度、自分を振り返ってみることだ。
もっと言えば希望は向こうからやってくるものではない。見つけるもの。
その後K君は高校進学をあきらめ、調理師の専修学校に入学。
今は家業であるラーメン屋を手伝っている。で、ある日、そのラーメン屋へ行ってみると、K君がちょうど配達のラーメンをどこかへ届けるところだった。
私が母親に「元気そうですね」と声をかけると母親はこう言って笑った。「まじめだけがとりえでねえ」と。K君にとっては、その「まじめ」こそが、銀のふちどりだったということになる。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー8
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。