「子どもとペット」 はやし浩司先生の育児・教育指導
オーストラリアでは、子どもの本といえば、動物の本をいう。写真集が多い。
またオーストラリアに限らず、欧米では、子どもの誕生日に、ペットを与えることが多い。
つまり子どものときから、動物との関わりを深くもたせる。
一義的には、子どもは動物を通して、心のやりとりを学ぶ。しかしそれだけではない。
子どもはペットを育てることによって、父性や母性を学ぶ。
そんなわけで、機会と余裕があれば、子どもにはペットを飼わせることを勧める。
犬やネコが代表的なものだが、心が通いあうペットがよい。
が、それが無理なら、ぬいぐるみを与える。やわらかい素材でできた、温もりのあるものがよい。
日本では、「男の子はぬいぐるみでは遊ばないもの」と考えている人が多い。
しかしこれは偏見。こと幼児についていうなら、男女の差別はない。あってはならない。
つまり男の子がぬいぐるみで遊ぶからといって、それを「おかしい」と思うほうが、おかしい。
男児も幼児のときから、たとえばペットや人形を通して、父性を育てたらよい。
ただしここでいう人形というのは、その目的にかなった人形をいう。ウルトラマンとかガンダムとかいうのは、ここでいう人形ではない。
また日本では、古来より戦闘的な遊びをするのが、「男」ということになっている。が、これも偏見。
悪しき出世主義から生まれた偏見と言ってもよい。
その一つの例が、五月人形。弓矢をもった武士が、力強い男の象徴になっている。
300年後の子どもたちが、銃をもった軍人や兵隊の人形を飾って遊ぶようなものだ。
どこかおかしいが、そのおかしさがわからないほど、日本人はこの出世主義に、こりかたまっている。
「男は仕事(出世)、女は家事」という、あの日本独特の男女差別思想も、この出世主義から生まれた。
話を戻す。
愛情豊かな家庭で育った子どもは、静かな落ちつきがある。おだやかで、ものの考え方が常識的。
どこかほっとするような温もりを感ずる。それもぬいぐるみを抱かせてみればわかる。
両親の愛情をたっぷりと受けて育った子どもは、ぬいぐるみを見せただけで、スーッと頬を寄せてくる。
こういう子どもは、親になっても、虐待パパや虐待ママにはならない。言いかえると、この時期すでに、親としての「心」が決まる。
ついでに一言。「子育て」は本能ではない。子どもは親に育てられたという経験があってはじめて、自分が親になったとき、子育てができる。もしあなたが、「うちの子は、どうも心配だ」と思っているなら、ぬいぐるみを身近に置いてあげるとよい。ぬいぐるみと遊びながら、子どもは親になるための練習をする。父性や母性も、そこから引き出される。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー8
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。