「子どもをダシに金儲け」 はやし浩司先生の育児・教育指導
以前、「たまごっち」というゲームが全盛期のころのこと。
あのわけのわからない生き物が死んだだけで大泣きする子どもはいくらでもいた。
東京には、死んだたまごっちを供養する寺まで現れた。
ウソや冗談でしているのではない。本気だ。
中には北海道からやってきて、涙をこぼしながら供養している20歳代の女性までいた(NHK「電脳の果て」97年12月28日放送)。
そういうゲームにハマっている子どもに向かって、「これは生き物ではない。ただの電気の信号だ」と話しても、彼らには理解できない。が、たかがゲームと笑ってはいけない。
その少しあと、ミイラ化した死体を、「生きている」とがんばったカルト教団が現れた。
この教団の教祖はその後逮捕され、今も裁判は継続中だが、もともと生きていない「電子の生物」を死んだと思い込む子どもと、「ミイラ化した死体」を生きていると思い込むその教団の信者は、方向性こそ逆だが、その思考回路は同じとみる。あるいはどこがどう違うというのか。ゲームには、そういう危険な面も隠されている。
で、浜松市内の中学一年生について調べたところ、男子の約半数がマジギャザと遊戯王に、多かれ少なかれハマっているのがわかった。1人が平均約1000枚のカードを持っている。中には一万枚も持っている子どももいる。
マジギャザはもともとアメリカで生まれたゲームで、そのためアメリカバージョン、フランスバージョン、さらに中国バージョンもある。カード数が多いのは、そのため。「フランス語版は質がよくて、プレミヤのついたカードは、4万円。
印刷ミスのも、4万円の価値がある」と。
さらにこのカードをつかって、別のカケをしたり、大会で賞品集めをすることもあるという。
「大会で勝つと、新しいカードをたくさんもらえる」とのこと。
「優勝するのは、たいてい20歳以上のおとなばかりだよ」とも。
子どもをダシにした金儲けは、この不況下でも、大盛況。カードの販売だけで、年間100億円から200億円の市場になっているという(経済誌)。
しかしこれはあくまでも表の数字。
闇から闇へと動いているお金はその数倍はあるとみてよい。
たとえば今、「融合カード」は、発売中止になっている(注)。
子どもたちがそのカードを手に入れるためには、交換するか、友だちから買うしかない。
希少価値がある分だけ、値段も高い。しかも、だ。
子どもたちは自分の意思というよりは、おとなたちの醜い商魂に操られるまま、そうしている。しかしこんなことが子どもの世界で、許されてよいのか。野放しになってよいのか。
(注)この原稿を書いた2001年はじめには発売中止になっていたが、2001年の終わりには再び発売されているとのこと。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー8
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。