「依存性」 はやし浩司先生の育児・教育指導
だれしも、多かれ少なかれ何かに依存しながら生きている。
生きていることは、その依存するものがなくなったときにわかる。
たとえば夫や妻をなくしてガタガタになる人。仕事や地位をなくしてガタガタになる人。お金や財産をなくしてガタガタになる人。宗教から離れたためにガタガタになる人もいる。
人は何かに依存することによって、自らを裏から支える。
支えながら、強がって生きる。
それ自体は悪いことではないが、問題はその依存する相手と、そしてその程度だ。
たとえば子どもに依存する親というのは珍しくない。
私はこのことを、依存心の強い子どもを調べていくうちに気がついた。
子どもが依存心が強いのではない。
その親が依存心が強いから、子どももまた依存心が強くなる……。
言いかえると、子どもの依存心ばかりを問題にしても意味がない。
子育ての目標は子どもを自立させること。
この原則にたちかえるなら、親の依存心は、それが強ければ強いほど、この自立を妨げることになる。
どうせ依存するなら、……というような乱暴なことは言いたくないが、しかしどうせ依存するなら、子どもではなく、もっと別のものにしたらよい。
仕事とか、名誉とか、ボランティア活動とか、はたまた政治活動とか、など。
しかしこれらでも、本当にその人を裏から支えることができるかどうかということになると疑わしい。依存するなら自分自身。子どもも含めて、自分以外のものには依存しない。
名誉や肩書き、地位など、バーチャルなものや、物や財産など、「形」あるものにも依存しない。……と言っても、ここから先は、あくまでも理想論だが、できれば自分自身の深い人間性や、知性、理性に依存するという方法もある。(私自身も本来ガタガタな人間であり、自分でもできないようなことを、こうしてここに書くのは本当におこがましいことだが……。)
そういうものに依存すれば、「なくす」ということがないから、それこそ死ぬまで強がって生きることができる。
いや、いろいろな人を見てきたが、本当に強い人というのは、そういう人をいう。
……と書いて、ときどき私はどうなるのだろうと考える。
もし私から健康がなくなり、女房が先に死に、おまけに私が書いた本がつぎつぎと古紙回収業の人に回されたら……。
そのときでも私は自分の人間性に自信をもち、それに依存して生きていくことができるだろうか。
いや、残念ながら、その自信はまったくない。
実のところ、こうして「依存心」について書きながら、もう一人の自分が別のところで、「何を偉そうに!」と、先ほどからずっと叫んでいる。だからこの話はここで止める。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー8
NO’169〜NO’182
NO’1〜NO’24 | NO’73〜NO’96 | NO’145〜NO’168 |
NO’25〜NO’48 | NO’97〜NO’120 | NO’169〜NO’192 |
NO’49〜NO’72 | NO’121〜NO’144 | NO’193〜NO’216 |
NO’217〜NO’240 | NO’241〜NO’264 | NO’265〜NO’282 |
NO’283〜NO’292 |
情報・画像の出展:はやし浩司先生
※このページの文章・及び画像の著作権は「はやし浩司」様が保有しています。
当サイトでは「はやし浩司」様のご厚意により許可を得て掲載させていただいております。
【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。