「旅は歩く」 はやし浩司先生の育児・教育指導
私はときどき旅先で絵を描く。
すると当然のことだが、その描いた絵のシーンは、強烈に印象に残る。
同じように、私はできるだけ旅先では歩くようにしている。
いや、それが私たちの世代にとっては、ごくふつうのことだった。が、車の発達とともに、それが変わってきた。
今ではほんの近くに行くのにさえ、車を利用する。行動半径はそれだけ広くなったが、その分だけ記憶の密度が薄くなった……?
もっともこれは個人の趣味の問題だから、私がとやかく言うものではないかもしれない。
『旅は歩け』というのは、オーストラリアの友人が口グセのように言っていた言葉だが、しかしもしあなたが子どもと旅をするなら、歩いたほうがよい。
健康にもよい。記憶にも残る。親子の旅なら、親子のきずなを太くする。こんなことがあった。
私は息子たちとよく、行き当たりばったりの「冒険旅行」をした。
目的地を決めないで、そのつどそこからつぎの目的地をさがして行くという旅行だった。
その旅行でのこと。
ある田舎町の夜遅く着いたのだが、どこをさがしてもホテルがなかった。
「パパ、だいじょうぶ?」「だいじょうぶだ」と、互いに励ましあいながら、寒くて暗い夜道を一緒に歩いた。数時間あちこちを息子たちとさまよい歩いたと思うが、それが今、思い出すと、たまらなくなつかしい。
息子たちにはどんな印象で残っているかは知らないが、二男はその数年後、北海道をひとり旅をしているし、三男は、無類の旅行好きになった。さらに高校に入ると、二男も三男も、ワンゲル部や山岳部に入部している。心のどこかで、子どものときにしたあの冒険旅行が、生きているのかもしれない。
が、この哲学(哲学と言えるほどのものかどうかはわからないが……)は、そのまま人生にも、そして子育てにも通用する。
もっと言えば、生きることそのものが、「歩く」ことに象徴される。特急のグリーン車に乗っていくような人生もあるだろうが、人生の意味は、そこにどれだけの濃密なドラマがあるかによって決まる。
オーストラリアの友人は、『旅は歩け』と言ったが、それは『人生は歩け』、『子育ては歩け』という意味にもとれる。そんなことも考えながら、あなたもどこかで旅をするようなときがあったら、歩いてみてほしい。
まわりの景色がかなり違って見えるはずである。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー7
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。