「友を責めるな、行為を責めよ」 はやし浩司先生の育児・教育指導
あなたの子どもが、あなたから見て好ましくない友人とつきあい始めたら、あなたはどうするだろうか。
しかもその友人から、どうもよくない遊びを覚え始めたとしたら……。
こういうときの鉄則はただ一つ。
『友を責めるな、行為を責めよ』、である。
これはイギリスの格言だが、こういうことだ。
こういうケースで、「A君は悪い子だから、つきあってはダメ」と子どもに言うのは、子どもに、「友を取るか、親を取るか」の二者択一を迫るようなもの。
あなたの子どもがあなたを取ればよし。しかしそうでなければ、あなたと子どもの間には大きな亀裂が入ることになる。
友だちというのは、その子どもにとっては、子どもの人格そのもの。
友を捨てろというのは、子どもの人格を否定することに等しい。
あなたが友だちを責めれば責めるほど、あなたの子どもは窮地に立たされる。
そういう状態に子どもを追い込むことは、たいへんまずい。ではどうするか。
こういうケースでは、行為を責める。
またその範囲でおさめる。「タバコは体に悪い」「夜ふかしすれば、健康によくない」「バイクで夜騒音をたてると、眠れなくて困る人がいる」とか、など。
コツは、決して友だちの名前を出さないようにすること。
子ども自身に判断させるようにしむける。そしてあとは時を待つ。……と書くだけだと、イギリスの格言の受け売りで終わってしまう。
そこで私はもう一歩、この格言を前に進める。そしてこんな格言を作った。『行為を責めて、友をほめろ』と。
子どもというのは自分を信じてくれる人の前では、よい自分を見せようとする。
そういう子どもの性質を利用して、まず相手の友だちをほめる。
「あなたの友だちのB君、あの子はユーモアがあっておもしろい子ね」とか。
「あなたの友だちのB君って、いい子ね。このプレゼントをもっていってあげてね」とか。
そういう言葉はあなたの子どもを介して、必ず相手の子どもに伝わる。
そしてそれを知った相手の子どもは、あなたの期待にこたえようと、あなたの前ではよい自分を演ずるようになる。
つまりあなたは相手の子どもを、あなたの子どもを通して遠隔操作するわけだが、これは子育ての中でも高等技術に属する。ただし一言。
よく「うちの子は悪くない。友だちが悪いだけだ。友だちに誘われただけだ」と言う親がいる。
しかし『類は友を呼ぶ』の諺どおり、こういうケースではまず自分の子どもを疑ってみること。
祭で酒を飲んで補導された中学生がいた。親は「誘われただけだ」と泣いて弁解していたが、調べてみると、その子どもが主犯格だった。
……というようなケースは、よくある。
自分の子どもを疑うのはつらいことだが、「友が悪い」と思ったら、「原因は自分の子ども」と思うこと。
だからよけいに、友を責めても意味がない。何でもない格言のようだが、さすが教育先進国イギリス!、と思わせるような、名格言である。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー7
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。