「まじめ7割、いいかげんさ3割」 はやし浩司先生の育児・教育指導
子育ては『まじめ7割、いいかげんさ3割』と覚えておく。これはハンドルの「遊び」のようなもの。この遊びがあるから、車も運転できる。子育ても同じ。
たとえば参観授業のようなとき、親の鋭い視線を感じて、授業がやりにくく思うことがある。ときにはその視線が、ビンビンとこちらの体をつらぬくときさえある。そういう親の子どもは、たいていハキがなく、暗く沈んでいる。ふつう神経質な子育てが日常的につづくと、子どもの心は内閉する。萎縮することもある。(あるいは反対に静かな落ち着きが消え、粗放化する子どももいる。このタイプの子どもは、神経質な子育てをやり返した子どもと考えるとわかりやすい。)
子育ての3悪に、スパルタ主義、極端主義、それに完ぺき主義がある。スパルタ主義というのは、きびしい鍛練を主とする教育法をいう。また極端主義というのは、やることなすことが極端で、しかも徹底していることをいう。おけいこでも何でも、「させる」と決めたら、毎日、そればかりをさせるなど。要するに子育ては自然に任すのが一番。
人間は過去数10万年もの間、こうして生きてきた。子育てのし方にしても、ここ100年や200年くらいの間に、「変わった」と思うほうがおかしい。心のどこかで「不自然さ」を感じたら、その子育ては疑ってみる。
完ぺき主義もそうだ。このタイプの親は、あらかじめ設計図を用意し、その設計図に無理やり子どもをあてはめようとする。こまごまとした指示を、神経質なほどまでに子どもに守らせるなど。このタイプの親にかぎって、よく「私は子どもを愛している」と言うが、本当のところは、自分のエゴを子どもに押しつけているだけ。自分の欲望を満足させるために、子どもを利用しているだけ。
子どもが学校に入り、大きくなったら、家庭の役割も、「しつけの場」から、「いやしの場」へと変化しなければならない。子どもは家庭という場で、疲れた心をいやす。そのためにも、あまりこまごまとしたことは言わないこと。
アメリカの劇作家のソローも、『ビロードのクッションの上に座るよりも、気がねせず、カボチャの頭のほうがよい』と書いている。こまごまとしたことが気になるなら、このソローの言葉の意味を考えてみてほしい。
また子どもに何か問題が起きたりすると、「先生が悪い」「友だちに原因がある」と騒ぐ人がいる。しかしもし子どもが家庭で心をいやすことができたら、そのうちのほとんどは、そのまま解決するはずである。そのためにも「いいかげんさ」を大切にする。「歯を磨かなければ、虫歯になるわよ」と言いながらも、虫歯になったら、歯医者へ行けばよい。痛い思いをしてはじめて、子どもは歯をみがくようになる。「宿題をしなさい」と言いながらも、宿題をしないで学校へ行けば、先生に叱られる。叱られれば、そのつぎからは宿題をするようになる。そういういいかげんさが、子どもを自立させる。たくましくする。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー6
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。