「日本人と親意識」 はやし浩司先生の育児・教育指導
「私は親だ」という意識を「親意識」という。たとえば子どもに対して、「産んでやった」「育ててやった」と考える人は多い。
さらに子どもをモノのように考えている人さえいる。ある女性(60歳)は私に会うとこう言った。「親なんてさみしいものですね。息子は横浜の嫁に取られてしまいましたよ」と。息子が結婚して横浜に住んでいることを、その女性は「取られた」というのだ。
日本人はこの親意識が、欧米の人とくらべても、ダントツに強い。
長く続いた封建制度が、こうした日本人独特の親意識を育てたとも考えられる。
その親意識の背景にあるのが、上下意識。
「親が上で、子が下」と。そしてその上下意識を支えるのが権威主義。理由などない。「偉い人は偉い」と言うときの「偉い」が、それ。
日本人はいつしか、身分や肩書きで人の価値を判断するようになった。
ふつう権威主義的なものの考え方をする人は、自分のまわりでいつも、人間の上下関係を意識する。
「男が上、女が下」「夫が上、妻が下」と。
たった1年でも先輩は先輩、後輩は後輩と考える。
そして自分より立場が上の人に向かっては、必要以上にペコペコし、そうでない人にはいばってみせる。私のいとこ(男性)にもそういう人がいる。
相手によって接し方が、別人のように変化するからおもしろい。
この親意識が強ければ強いほど、子どもにとっては居心地の悪い世界になる。が、それだけではすまない。子どもは親の前では仮面をかぶるようになり、そのかぶった分だけ、心を隠す。
親は親で子どもの心をつかめなくなる。そしてそれが互いの間に大きなキレツを入れる……。
昔は「控えおろう!」と、三つ葉葵の紋章か何かを見せれば、人はひれ伏したが、今はそういう時代ではない。親が親風を吹かせば吹かすほど、子どもの心は親から離れる。
親意識の強い人は、あなたというより、あなたが育った環境を思い浮かべてみてほしい。
あなた自身もその権威主義的な家庭環境で育ったはずである。
そして今、あなた自身があなたと親の関係がどうなっているか、それを冷静に見つめてみてほしい。
たいていはぎくしゃくしているはずである。
たとえうまくいっている(?)としても、それはあなた自身も権威主義的なものの考え方にどっぷりとつかっているか、あるいは親に対して服従的もしくは親離れできていないかのどちらかである。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー5
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。