「子どもを叱れない親」 はやし浩司先生の育児・教育指導
叱れない……ということ自体、すでに断絶状態にあるとみる。
原因は
(1)リズムの乱れ(親側がいつもワンテンポ早い)、
(2)価値観の衝突(親側が旧態依然の価値観に固執している)、それに
(3)相互不信(「うちの子はダメだ」という思いが強い)。この状態で子どもを叱れば、あとはドロ沼の悪循環!
親には3つの役目がある。
(1)ガイドとして子どもの前を歩く。
(2)保護者(プロテクター)として子どものうしろを歩く。
(3)友(フレンド)として子どもの横を歩く。日本人はこのうち三番目が苦手、……というより、「私は親だ」という親意識だけがやたらと強く、子どもを友として見ることができない。
もしあなたが子どもをこわくて叱れないというのであれば、まず子どものリズムで歩き、親の価値観を一方的に押しつけるのをやめる。
そしてここが重要だが、子どもを対等の友として受け入れる。
英語国では、親子でも「お前はパパに何をしてほしい?」「パパは、私に何をしてほしい」と聞きあっている。そういう謙虚さが、子どもの心を開く。
また一度断絶状態になったら、「修復しよう」などとは考えないで、今の状態をより悪くしないことだけを考えて対処する。
「叱る」というのは、本当のところは、たいへんむずかしい。
子どもを叱るというのは、叱る側にそれだけの「人格」がなければならない。
たとえば教える立場でいうと、よく宿題を忘れてくる子どもがいる。
宿題ならまだしも、テキストや鉛筆すら忘れてくる子どもがいる。しかし私は、どうしてもそういう子どもを叱ることができない。理由は簡単だ。
私自身もよく忘れ物をするからだ。
自分でもできないのに、どうして子どもを叱ることができるのか。
それともあなたは、あなたの子どもに向かって、「正しいことをしなさい」「まちがったことをしてはだめだ」と子どもを叱ることができるとでもいうのか。もしそうなら、きっとあなたはすばらしい人だ。
私は幼児を教えるようになって、もう40年になるが、どういうわけだか「叱る」ということに対して、おおきな抵抗を感ずる。
ときどきは叱ることもあるが、そのたびに心のどこかで、「何を偉そうなことを」と自分で思ってしまう。
そして叱ることをやめてしまう。……そういう意味でも、子どもを叱るというのは、とてもむずかしい。
この問題については、また別のところで考えてみる。
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情報・画像の出展:はやし浩司先生
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。