「自慢は要注意」 はやし浩司先生の育児・教育指導
日本人はもともと上下意識の強い民族。
上下関係がないと落ち着かない。そのため無意識のうちにも、上下関係を身の回りでつくろうとする。
そしてその結果、「上」の人には必要以上にペコペコし、「下」の人には尊大ぶったり、いばったりする。が、その上下関係がはっきりしないときがある。
そういうとき日本人は、自慢話を始める。……と決めてかかるのも危険なことだが、日本人は自慢することによって、相手を「下」におこうとする。
先祖や家柄を自慢する人、学歴や経歴を自慢する人、親類や子どもを自慢する人などがいる。
自慢しながら、自分を優位な立場に置こうとする。で、その自慢のし方は、人さまざま。
(1)それとなく会話に中に自慢を折り込む人……「今度S高校(市内でも有名な進学校)の連中と、同窓会をしましてね」とか、「いとこがA町で町長をしてましてね」とか。あるいは「今度の選挙で、親類の選挙運動を頼まれました」とか言うなど。「私の先祖に、○○藩で家老をしていたのがいます」と、ストレートに自分を自慢する人もいる。
(2)大物ぶる人……「定年退職をしたら、郷里で市長でもしようかな」とか、「先週、○○市の市長から電話がありましてね」とか。「あの大臣がね、この町に来たときにね、パーティに出てほしいと言われて、しかたなく出てきました」と言った人もいた。
「今」という現実の中で、「私は私」と生きている人は、自慢などしない。
しても意味がない。
しかし仮想現実の世界※で、他人の目を気にして生きている人は、どうしても自慢が多くなる。
だいたいにおいて人間の上下関係などというのも、フィクション(架空)に過ぎない。
人間に上下などない。あるわけがない。
同じように名誉や地位、肩書き、社会的地位もフィクション。
それはちょうど子どものゲームのようなもので、その世界にハマッた人にはその愚かさがわからない。
言いかえると自慢話をして自分を飾る人は、それだけ自分のない人とみる。
たとえば議員バッジを胸につけ、ふんぞりかえって歩く国会議員を思い浮かべればよい。
はたから見るとこっけいなのだが、本人にはそれがわからない。
……と言いながら、実のところ私も、ときどき自慢話をする。
しかしそのたびに、「くだらないからやめろ」という声も聞こえてくる。
あるいは自慢話をしたあとというのは、どこか不愉快になる。
自分がなさけなくなるときもある。
「自慢」というのはそういうもので、自慢話をするときの自分は、自分であって、自分でない。
だから自慢はできるだけしない。しそうになると、「やめた」と言って、自ら遠ざかる。
私は私だ。他人がどう思うとも、私の知ったことではない。さてあなたはどうだろうか。きわどい話になってしまったが、この項は、あくまでも一つの参考意見としてとらえてほしい。
※ ……生きる本分を忘れた生活を、私は、「仮想現実の世界」と呼んでいる。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー5
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。