子どもを愛するために…… はやし浩司先生の教育アドバイス
あなたの疲れた心をいやすために、もう、あきらめなさい。あきらめて、あるがままを、受け入れなさい。
がんばっても、ムダ。無理をしても、ムダ。
あなたがあなたであるように、あなたの子どもは、あなたの子ども。
あとは、ただひたすら、許して、忘れる。
あなたの子どもに、どんなに問題があっても、どんなにできが悪くても、ただ許して、忘れる。
問題のない子どもは、絶対にいない。
その子は、どの子も、問題がないように見える。
しかしそう見えるだけ。みんな問題をかかえている。
あとは、あなたの覚悟だけ。
あなたも、一つや二つ、三つや四つ、十字架を背負えばよい。
「ようし、さあ、こい!」と。そう宣言したとたん、あなたの心は軽くなる。子どもの心も軽くなる。
そのとき、みんなの顔に微笑みがもどる。
あなたはすばらしいい親だ。
それを信じて、あとは、あきらめる。
それともほかに、あなたには、まだ何かすることがあるとでもいうのか?
【子どもを愛せない親たち】
その一方で、子どもを愛せない親がいる。全体の10%前後が、そうであるとみてよい。
なぜ、子どもを愛することができないか。大きくわけけて、その理由は、二つある。
一つは、自分自身の乳幼児期に原因があるケース。もう一つは、妊娠、出産に際して、大きなわだかまり(固着)をもったケース。しかし後者のケースも、つきつめれば、前者のケースに集約される。
乳児には、「あと追い、人見知り」と言われるよく知られた現象がある。生後5〜7か月くらいから始まって、満1歳半くらいまでの間、それがつづく。
ボウルビーという学者は、こうした現象が起きれば、母子関係は、健全であると判断してよいと書いている。言いかえると、「あと追い、人見知り」がないというのは、乳児のばあい、好ましいことではない。
子どもは、絶対的な安心感の中で、心をはぐくむ。その安心感を与えるのは、母親の役目だが、この安心感があってはじめて、子どもは、他者との信頼関係(安全感)を、結ぶことができるようになる。
「あと追い、人見知り」は、その安心感を確実なものにするための、子どもが親に働きかける、無意識下の行動と考えることができる。
で、この母子との間にできた基本的信頼関係が、やがて応用される形で、先生との関係、友人との関係へと、広がっていく。
そしてそれが恋愛中には、異性との関係、さらには配偶者や、生まれてきた子どもとの関係へと、応用されていく。そういう意味で、「基本的(=土台)」という言葉を使う。
子どもを愛せない親は、その基本的信頼関係に問題があるとみる。その信頼関係がしっかりしていれば、仮に妊娠、出産に際して、大きなわだかまりがあっても、それを乗りこえることができる。そういう意味で、ここで、私は「しかし後者のケースも、つきつめれば、前者のケースに集約される」と書いた。
では、どうするか?
子どもを愛せないなら、愛せないでよいと、居なおること。自分を責めてはいけない。ただ、一度は、自分の生い立ちの状況を、冷静にみてみる必要はある。そういう状況がわかれば、あなたは、あなた自身を許すことができるはず。
問題は、そうした問題があることではなく、そうした問題があることに気づかないまま、その問題に引き回されること。同じ失敗を繰りかえすこと。
しかしあなた自身の過去に問題があることがわかれば、あなたは自分の心をコントロールすることができるようになる。そしてあとは、時間を待つ。
この問題は、あとは時間が解決してくれる。5年とか、10年とか、そういう時間はかかるが、必ず、解決してくれる。あせる必要はないし、あせってみたところで、どうにもならない。
【この時期の乳児への対処のし方】
母子関係をしっかりしたものにするために、つぎのことに心がけたらよい。
(1)決して怒鳴ったり、暴力を振るったりしてはいけない。恐怖心や、畏怖心を子どもに与えてはならない。
(2)つねに「ほどよい親」であることに、心がけること。やりすぎず、しかし子どもがそれを求めてきたときには、ていねいに、かつこまめに応じてあげること。『求めてきたときが、与えどき』と覚えておくとよい。
(3)いつも子どもの心を知るようにする。泣いたり、叫んだりするときも、その理由をさぐる。『子どもの行動には、すべて理由がある』と心得ること。親の判断だけで、「わがまま」とか、決めてかかってはいけない。叱ってはいけない。
とくに生後直後から、「あと追い、人見知り」が起きるまでは、慎重に子育てをすること。この時期の育て方に失敗すると、子どもの情緒は、きわめて不安定になる。そして一度、この時期に不安定になると、その後遺症は、ほぼ、一生、残る。
情報・画像の出展:はやし浩司先生
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。